切片は大きく2つ、「パラフィン包埋切片」か「凍結生切片」のどちらかです。
気を付けなければならない事は、どちらも同じ様に染まるとは限らないことです。
パラフィン包埋切片は、とても綺麗に薄切出来てHE染色なんかには最適なサンプルです。しかし、固定・包埋の過程でサンプルの抗原性が低下することがあります。
凍結生切片は、生と言いながら薄切を行った後に固定の作業が必要となります。一度、固定を行わず染色をしてみたことがあるのですが、組織がボロボロになって観察不可能でした。細胞表面抗原などは凍結生切片を用いて染色する方法が最適です。
・abcam, ab7842
ab7842と検索してみましょう。抗インスリン抗体のページにとんだと思います。 ★5つの最高評価を受けている抗体です。
概要を見てみますと、
製品の詳細:Guinea pig polyclonal to Insulin
アプリケーション: IP, IHC-FoFr, ICC/IF, IHC-P, IHC-Fr, Flow Cyt
交差種:Mouse, Rat, Human, Syrian hamster, Other
と記載されています。つまり、モルモットで作られたインスリン抗体で、多くのアプリケーションに適応があって、多くの動物種のインスリンを染めることができる抗体です。guinea pigの抗体であるとの情報は極めて重要です!蛍光標識がコンジュゲートされていませんので、二次抗体はAnti-guinea pigでなければなりません。
アプリケーションの説明を見てみると、組織切片はIHC-P(パラフィン包埋)でもIHC-Fr(凍結切片)でも染められるとの記載があります。どちらの項目も★5つです。しかし、IHC-Pの注意事項として、「長期のホルマリン固定は抗原性を低下させる」と記載されています。つまり、染まらなくなると言っていますので、できるだけフレッシュなサンプルを用いる方が良さそうです。
病理組織学的検討は、in situ でどうなっているのか視覚的に見えるので、とても説得力のある図になると思います。
病理関係の職業でなくとも、組織を見てどの様な所見か多少は分かるようになりたいものです。