構造生物学とは、タンパク質を中心にした生態高分子の分子機能を、その分子構造から理解する研究分野です。立体構造情報に立脚した構造生物学は21世紀の生命科学の大きな潮流のひとつになっています。(理研 放射光科学総合研究センター)
タンパク質は立体構造を形成して分子機能を獲得するので、遺伝情報だけでは解き明かせない生体の謎を解明するために、構造生物学が必要です。
高品質なタンパク質結晶を得ることが、詳細・精確な構造を決定するために必要不可欠です。しかし、高品質なタンパク質結晶を作製することはとても難しく、条件検討で数年かかることも珍しくないようです。
構造生物学について調べていくと、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のホームページに辿り着きました。何故、宇宙へ行きついたのか不思議でしたが、地球の重力の影響で発生する「対流」が高品質タンパク質作成の障害になっているからだそうです。
結晶は、タンパク質が溶けている溶液の中で結晶の「核」が生成した後、その「核」に分子がくっついて成長します。このとき、ゆっくりと結晶化したほうが結晶の品質は良くなります。しかし、対流の影響で分子が次から次へと核の方へ運ばれてしまうと、結晶成長が加速してしまい、乱雑な配列の結晶になってしまいます。
対流の問題を解決するのが、国際宇宙ステーションです!無重力の状態では、地上のように密度や温度の違いによって生じる対流が起こりません。この地上にはない特徴によって、宇宙ではタンパク質の分子が規則正しく並び、地上では得られない高品質な結晶が生成すると考えられています。
JAXAとタンパク質研究者が手を取り合って、研究を行っていることを初めて知りました。ちょっと宇宙を身近に感じました。
2002年1月号の日経サイエンスの記事にこの特集が組まれていました。
ヒトゲノム解読終了宣言直後から、その後の研究(ポストゲノム研究)が動き出したと言われています。
ポストゲノム研究には構造生物学が重要です。
構造生物学関連のデータベースや解析ツールの情報が集められています。
・バイオインフォマティクス推進センター 科学技術振興機構
生物科学に関するデータベース、解析ツールを紹介しています。色々と役に立ちそうな情報ばかりです。
・ターゲットタンパク研究プログラム(TPRP) 文部科学省
解析ツールをこれでもかというほど紹介しています。