前項で収納に余裕を持たせることが重要だと書きましたが、だからと言ってモノを意図的に(むしろ無意識的にも)増やしてしまったら、またすぐに窮屈な収納に逆戻りしてしまいます。そこで、モノを増やさないために心がけるべきポイントを私なりにまとめました。
1. 衝動買いしない
ウィンドウショッピングをしていてふらりと入った雑貨屋さん、なんとなく物色しているとときめくデザインのマグカップが!!といった場面で思わず買っちゃっていませんか?マイマグカップを5個くらい持っていませんか?ましてやよくわからないブリキの置物や動物のぬいぐるみが部屋に転がっていませんか?
「これ欲しい!」とその場で買ってしまえば、そのうちの何割かは後々後悔することになるでしょう。そのモノにははっきりとした用途があるのか、家の中でしっくりくる場所があるのか、サイズは合っているか、買うにしても一回家で考えてみる、インターネットで安く手に入らないか探してみる。直感で買ってしまわないように気を付けるだけで後悔するリスクは減りますし、もし後悔してもその罪悪感は小さくなります。後悔した時もしっかり自分の行動と向き合えば、再び失敗するリスクを下げることができます[4,下コラム]。
2. セール品に飛びつかない
まず、個々人の趣味嗜好やショップの方向性はあれど、セール品は売れ残りである場合が多いです。セール品だからと飛びついて買った後に、果たして自分はそれを愛用するでしょうか。着て満足するでしょうか。買う前に一度想像してみましょう。
10,000円の服が50%OFFの5,000円で店の入り口に並んでいる時、それは10,000円の価値の服が5,000円で手に入るのではなく、10,000円の価値の服が5,000円の価値に下がったと考えることもできます。そのように値段に変動される価値ではなく、自分の中に確固とした価値判断基準を持つ(どれだけ自分にとって有益か)ことが大事です。もちろん、自分の中で価値が高く値段も高くて手が届かなかったモノが、手が届くところまで値段が下がった時は、ぜひ購入することをオススメします。
3. 部屋のテーマを決める
モノトーンを基調とした部屋、木製の家具や小物を中心に揃えた部屋、畳を利用して和を前面に押し出した部屋など、理想の部屋のテーマを決めてしまえば、テーマに合わないモノを手放して、テーマからずれたモノの購入を思いとどまることができます。黒や茶色を基調にした部屋はリラックスしやすく、黄色等の暖色を貴重にした部屋は太陽光を取り込んで明るい部屋となるでしょう。
4. 見栄を捨てる
無理をせず、身の丈に合った部屋作りに努めましょう。周りに合わせて車を買おう、高いお酒に手を出そうと格好つけても、それは所詮「付けた格好」にすぎません。SNS全盛期の現代で承認欲求に惑わされず自分を保つことは意識しましょう。でも本当に愛しているブランドの服、欲しかった憧れのバイクならぜひ買ってください、幸せになるのですから。
EX. 捨て過ぎないことも大切
必要ないから捨てたけど、後になって必要になった、なんてこともあるでしょう。機能が被るモノは片方だけあれば良いですが、使う機会があるのに家に一つしかないモノは捨てないようにしましょう。いくつかの機能を兼ね備えたモノを持っておくとより必要性が増してそういうこともなくなります(例:スライサーを兼ねたおろし金、缶切りを兼ねたワインオープナー)。
[4] Cornish LS (2019) Why did I buy this? Consumers' post‐impulse‐consumption experience and its impact on the propensity for future impulse buying behaviour. J Consumer Behav., 19, 36-46. https://doi.org/10.1002/cb.1792
衝動買い(衝動食い?)、私はよくやってしまいます。衝動買いしたことの後悔からストレスが溜まってまた衝動買いに走ってしまう(金欠なのに…)ということも時々あります。そんな衝動買い、どのように対処したら繰り返さずに済むのでしょうか。過去の研究では消費者は以下の3つの対処法を衝動買いの後によく取るようです。
コベントリー大学のCornish教授はこの3つの行動が衝動買いへの対処として効果的なのか、また最も優れている対処法はどれか検討するために160名の学生の行動を分析して検証しました。
その結果、「衝動買いしたことへの後悔から逃げる行動」として最も効果的なのは「ポジティブな再解釈」であり、「慎重な問題解決」、「精神的な逃避」と続きました。しかし興味深いことに、「実際に次の衝動買いを防止する行動」として正しい選択であったのは、「慎重な問題解決」であり、他二つの効果はわずかなものでした。結局は自分が衝動買いしてしまった現実と向き合うことが最も大切だということが言えますね。