[4-1] フレーベル |
折り紙の歴史を追っているうちに、なぜかドイツへやってきました。
ここでは、19世紀ドイツの教育者フレーベルの活動を紹介します。彼と折り紙にどんな関係があるのでしょうか。
4-1 Frederick Froebel on Library of Congress (2021.03.08)
[4-2] 恩物の例 |
フレーベル(Friedrich Wilhelm August Fröbel, 1782-1852)は、19世紀ドイツの教育者です。当時の宗教・哲学思想に大きく影響を受けながら、独自の教育思想を構築しました。
特に幼児教育を重視し、1840年、自身が設立した幼児教育施設にKindergartenと名付けたことは有名です。これが、世界で初めての「幼稚園」になりました。
幼児教育では遊戯と作業を重視し、自身も様々な教育玩具を開発しました。これらの玩具は恩物(Gabe)と名付けられ、遊び方も具体的に示されました。恩物の中には、色を塗ったボールや、積み木など、今日でも知育玩具として使われるようなものが含まれています。
恩物を開発するなかで、Das Faltenという遊びも生まれました。
英語に訳すとThe Fold。名前の通り、紙を折って物を表現する遊びです。
[4-3] Das Faltenの例 |
上の画像は、Das Faltenの作品例を紹介したものです。
日本で育った人の中には、これを見て驚く人もいるかもしれません。
というのも、この中には、「伝承折り紙」として知られているのと同じモデルが入っているのです。
たとえば左の画像の作品10.は、現在「だましぶね・ほかけぶね」として知られています。
ほかにも右の画像の作品22.は「ぶた」として知られる作品です。
これらの作品が、19世紀後半、海を越えて日本にやってくるのです。
というわけで、次はふたたび、文明開化真っただ中の日本に戻りましょう。
[画像] | |
4-2 | Friedrich Fröbel- Construction kit- 1782-1852- SINA Facsimil-dhub.jpg by Kippelboy on Wikimedia Commons / CC-BY-SA-3.0(2021.03.08参照) |
4-3 | Marie Müller= Wunderlich (1910) "Die Fröbelschen Beschäftigungen. Dargestellt in Einzelheften mit Erlauterungen 2 Heft"Friedrich Brandstetter on データベース・フリードリッヒ・フレーベル (2021.03.08参照、リンク切れ) |
[参考] | |
小学館 日本大百科事典「フレーベル」(執筆者 村井実) |
「折り紙の歴史」ページの記述にあたっては、下記資料を参考にしています。
小学館 日本大百科事典より「折り紙」(執筆者 菩提寺悦郎)
国立国会図書館リサーチ・ナビ 第151回常設展示 本の中の「おりがみ」 (2021.03.08参照)
日本折紙学会 岡村昌夫「折り紙の歴史」 (2021.03.08参照)
五十嵐 裕子「折り紙の歴史と保育教材としての折り紙に関する一考察」(浦和大学『浦和論叢』46,pp45-68) (2021.03.08参照)