私たちは、普段、無意識に呼吸をしていますが
どのように呼吸はコントロールされているのでしょうか???
延髄にある呼吸中枢が、受容体からもたらされる情報に基づき、
呼吸運動をコントロールしています。
受容体には、
・化学的受容体(血液中の酸素・二酸化炭素の濃度をチェック)
・機械刺激受容体(肺の膨張・萎縮の状態をチェック)
の2種類があります。
その中で最も重要なのが化学的受容体で
①動脈血二酸化炭素分圧 (Paco₂; 基準値35~45㎜Hg)
動脈血の中の二酸化炭素の割合のこと ← 中枢性化学受容体
②動脈血酸素分圧 (Pao₂; 基準値80~100㎜Hg)
動脈血の中の酸素の割合のこと ← 末梢性化学受容体
をモニターしています。
通常は中枢性化学受容体でPaco₂*を監視して
呼吸状態を調整するようになっています。
つまりCO₂濃度の変化を敏感に感じ取ることで
呼吸を早くしたり遅くしたりしています。
末梢性化学受容体はPao₂がとっても下がったときだけ働いて呼吸を調整します。
*厳密に言うと、動脈血中のCO₂を直接見ているのでなく、
髄液中に入ったCO₂が産生するH⁺の濃度上昇を感知しているといわれています。
しかし、Paco₂が高い状態が続くと、CO₂ナルコーシス(右側に説明があります)
を引き起こすため注意が必要です!
呼吸器疾患によりPaco₂が異常に
高い状態が続いている患者さんでは、
中枢化学受容体は麻痺してしまう!
(常にPaco₂が高いので反応が鈍くなる)
⇒そのため、末梢化学受容体でPao₂を監視
して呼吸を調整している
(低酸素になると呼吸を増やす)
つまり、呼吸が足りているかどうかを
体の中の酸素の量だけで
判断している状態です。
この状態で、急に高濃度の酸素を
吸わせるとどうなるでしょうか??
急に酸素濃度が上がることで、
呼吸は十分だと体が判断し、
呼吸をさせようという力が弱まります。
呼吸回数が減るとさらに
体内の二酸化炭素濃度は上昇し、
意識喪失や、昏睡状態を引き起こします。
この状態をCO₂ナルコーシスといいます。