何回目だ…と思われるかもしれませんが、労働基準法第68条は、「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定めています。大体この法律が訴訟で使用されるのは皆さんが社会人になった後なので、ここでは大学生や大学院生に起こりやすいトラブルにどう対処するかを考えていきたいと思います。
筆者が考えた起こりうるトラブルは、以下のような感じです。
①旅行中に生理になった泣
②スポーツの試合と生理がかぶった！
③おなかがすきまくる
④生理が来ない（月経不順）
大学時代の友人のエピソードです。仲の良い男女のグループで旅行へ行くことになりました、彼女はたまたま予定日がずれ、初日に生理が来てしまいました。その日は夜、岩盤浴に行く予定でしたが、不衛生だし、温泉着を汚すとよくないので、彼女は入らないと決断しました。岩盤浴は混浴であり、さすがに初日に入らないと不自然なので、男子2名に言うほかありませんでした。1人は「ごめん、今日は入れない」というだけで察してくれましたが、もう1人は理由が分からないようで、結局彼女は「生理で」と言うと、相手はそういわせたことが申し訳ないと感じていたようでした。
たしかにプールで生理中の女子がごそっと抜けると、男子は「なんであんなにさぼってるの？」と言っていた記憶があります。生理はどうしても行動が制限されてしまいますが、付き合っていくしかありませんね。
女性アスリートにとって、生理は「とても不快なもの」だと言います。まずPMSでオリンピアンの鉄壁のメンタルが崩れ、練習に集中できず、いらいらするのでけがのもとにもなります。そして競技中はナプキンがユニフォームからでていないか、ユニフォームに血がにじんでいないかなど、心配しながら行わなければならないのです。パフォーマンスが左右される要因の一つが生理であるといっても過言ではないでしょう。ナプキンもタンポンもピルも使用している選手がそれぞれいますが、心配は常にまとわりつきます。
これは閑話休題ですが、筆者も「服に血がつく」という点では、腹痛に耐えながら授業を受け終わった後、クオーターパンツもスカートも椅子も血だらけになっていたことがありましたが、それに気づいた友人が替えを持ってきてくれたり保健室まで連れて行ってくれた覚えがあります。ありがとう…
そういった生理に悩む女性アスリートのために、陸上・7種競技の泉谷莉子選手は、アスリート用の吸水ショーツを開発しました。デザインもユニフォームにラインが出ないような配慮がされています。
男性コーチとも相互理解が必要です3。女性には必ず毎月訪れる生理ですから、異性と言えど察せるようになったり、生理時用のメニューを用意したりすることも第一歩ではないでしょうか。
また、キラン・ガンディーさんは、生理用タンポンをつけずに血を流しながら「生理というスティグマと戦うために（to fight the 'stigma of periods'）」2015年のロンドンマラソンを完走しました。「タンポンを手に入れられない女性や、痛みを隠さざるをえない女性のために、私は足に血を滴らせながら走ったのです（筆者訳）」と彼女は語りました25。
「生理前ってあり得ないくらいおなかがすく…」「私は生理中たくさん食べちゃう…」
生理と食欲は切っても切れない関係です。
生理前・生理中の過食は、ずばりPMSのせいです。自分の意思とは関係なく、体が赤ちゃんを迎えるために脂肪や糖分、水分を蓄えようとします。また、PMSの症状で「イライラする」と言うのがありましたが、自身の過食にイライラしてしまうこともあります。
解決法は、食事を小分けにする、軽い運動をする、ツボを押すなどがあります11。
生理が遅れるもしくは生理周期が乱れる理由は、いくつかあります。特に多い理由は、ホルモンバランスの乱れです。ホルモンが乱れる理由は、ストレス・睡眠不足・急激なダイエット・激しいスポーツ・卵巣や脳の病気が考えられます。また、妊娠や閉経の場合もあります。
急激なダイエットで実際に生理が止まってしまった方もおられますし、スポーツ選手の中には生理が来ないという方もいらっしゃいます。
陸上選手の千葉真子さんは、本格的に競技を始めてから15年、生理が来なかったと言います。他の選手も似たような境遇にあったり、「生理が止まってスポーツ選手として一人前」という監督もいました。ずっと競技のことを考えてきた千葉さんですが、「将来子どもが欲しい」ということで競技を引退されたあと、わずか1か月で生理が来ました。千葉さんは、伝聞情報でなく、ちゃんと生理についての正しい情報を得ることが大事だと語りました。
また水泳選手の伊藤華英さんは、オリンピックと生理の日程をずらすために中用量ピルを使用しましたが、副作用のためパフォーマンスが最大限に発揮できませんでした。その後、伊藤さんは大学生90人にオンラインで特別講義を行いました。参加学生の7割は男子生徒です。生理に関する悩みは我慢しないければいけないことは決してないこと、気軽に相談できる相手がいることが大事だと語りました
東京大学附属病院「女性アスリート外来」の能瀬さやか医師は、長期間無月経が続くと10代でも骨粗鬆症になるおそれがあると警鐘を鳴らします。無月経を長期間放置すると、うつ傾向や不妊の可能性も出てきます4。
過度な減量はダイエットであれスポーツのためであれ大変危険ですので、運動量にみあった食事を心がけましょう。