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★歴史から見た文房具 〜九大で買える鉛筆・シャープペンシルのすごさについて〜: おわりに

私たちの創作を支える、文房具。その歩みを遡ると、熱いドラマが見えてきました。身近な働き者のすごさを、主に歴史の観点から眺めたガイドです。

文房具という小宇宙

ここに、一本のペンがあります。

かつてぺんてるが発売していた、XSというシャープペンシルです。

 

いかにも近未来的なその姿。

小倉の文房具屋さんで目にして以来、小学生の私は夢中になりました。

 

しかし、定価1000円のシャープペンは、小学生には高級品です。

これは親に頼むしかないと、ことあるごとにXSの必要性を訴え、XSが手に入った場合にいかに勉強に力を入れるか、必死でアピールしました。

 

そしてあるクリスマスの朝、私の枕元にはこのペンが置かれていました。

以来、高校受験・大学受験と続いていく勉強生活の中で、このペンは私の「相棒」となっていったのです。

 

そして、ある日。

高校生活の終わりに、お世話になった文房具屋さんを巡っていた私は、衝撃の事実に気が付きます。

 

 

XSがない。

 

 

残念ながらこのペンは、私の手元にやってきた少し後に、廃盤になっていたのです。

 

 

考えてみると、変わったペンです。

 

 

ゴムグリップはわずか6つ。しかも2箇所に集中しています。

かっこいいのですが、少し持つ部分がずれると、滑り止めの機能を果たしません。

「ちゃんと」滑り止めがついている他の製品に比べると、機能面ではいささか劣るかも…。

 

 

 

 

……でも、それでもなお。

 

私にとってこのペンは、XSは、「忘れられない1本」です。

 

 

半透明の軸。

銀色で統一された金属パーツ。

斜めに入れられたゴムグリップ。

その全てが、「かっこいい」に振り向けられています。

 

ある種の割り切りを感じるこのペンからは、開発者の楽しそうな顔が浮かんできます。

 

 

「銀色かっこいい!」

 

「斜めのゴムグリップかっこいい!」

 

「ロケットみたいなキャップかっこいい!」

 

 

そんな開発者の熱い思いが、一本のシャープペンシルに宿り、その思いにやられた小学生がいる。

 

 

文房具という小宇宙が、思いを媒介したのです。

 

 

 

さて本稿では、様々な文房具をご紹介してきました。

8900、9000、uni、木物語、クルトガ、デルガード、オレンズ。

発売された年代もバラバラ、機能もバラバラな文房具たちですが、共通している特徴があります。

それは、「熱い思い」です。

 

 

「俺たちだけの鉛筆を!」

 

「環境に思いを馳せられる鉛筆を!」

 

「0.2ミリが普通に使えるシャーペンを!」

 

 

熱い思いの宿った文房具が、生協で、コンビニで、スーパーで、お互いに切磋琢磨している。

今この時にも行われている「戦い」に思いを馳せる時、私は、文房具コーナーに熱気を感じるのです。

 

敗れてしまうこともあるかもしれない。

突然に姿を消すことも、あるかもしれない。

 

それでもなお、誰かに思いが伝わると信じて、文房具は今日も戦い続けるのです。

コラム:#忘れられない一本

本文で私は、XSを「忘れられない一本」と表現しましたが、これには元ネタがあります。

ぺんてるの社員さんたちが投稿しておられるnote、「ぺんてる シャープペン研究部」(現在は休部中)の連載、「#忘れられない一本」です。

 

そこに綴られているのは、シャープペンシルとの思い出、反発と和解、喜びと悲しみ。

一人ひとりのドラマが、シャープペンシルというレンズを通して描き出されています。

 

どの記事も大好きで、何度も何度も読み返しているのですが、その中で一つだけお勧めするとすれば、「サイドノック式シャープペンが好きで入社したら廃盤になった話」を選びます。

→ 「サイドノック式シャープペンが好きで入社したら廃盤になった話」ぺんてるシャープペン研究部 note(2020年7月17日)

 

日々の創作を、手元で支えてくれているシャープペン。

 

最近使ってないという方も、絶賛酷使中の方も、是非ご覧ください!

参考文献一覧

本稿執筆にあたって参照した書籍を、登場順に改めてご紹介します。

どれも九大図書館でご覧いただけますので、是非ご一読ください!