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★歴史から見た文房具 〜九大で買える鉛筆・シャープペンシルのすごさについて〜: 2.九大で買える鉛筆

私たちの創作を支える、文房具。その歩みを遡ると、熱いドラマが見えてきました。身近な働き者のすごさを、主に歴史の観点から眺めたガイドです。

三菱鉛筆:uni

まずご紹介するのは、やはりこちらの鉛筆。

 

三菱鉛筆の魂がこもった、uniです。

 

 

「ユニ色」と通称される軸色。

美しい削りあと。

金色に輝く、「ESTABLISHED 1887」の文字。

眞崎仁六以来の伝統の中に位置付けられたこの鉛筆からは、気迫まで漂ってきます。

 

 

 

一筆書いてみると、その滑らかさに、そして描線の美しさに、驚く。

 

小学校以来慣れ親しんだ書き味が、こんなにも滑らかだったなんて。

その背景にあった「プロジェクトX」に、社運を賭けた熱い思いに考えを巡らせるとき、その贅沢さを実感します。

 

ちなみにuniには、九州大学バージョンも存在します。

キャンパス内の生協・セブンイレブンなどでご購入いただけますので、ぜひ!

トンボ鉛筆:木物語

お次にご紹介するのは、トンボ鉛筆の木物語。

 

三菱鉛筆についてはuniをご紹介したので、本来であれば、トンボ鉛筆の同価格帯の製品・MONOをご紹介したかったのですが……MONOはおろか、8900でさえ、九大生協には置いていません。

8900と同じ位置付けの三菱鉛筆の製品・9800は、生協でも引っ張りだこ。

どうやら九大においては、三菱鉛筆が強い様子です。

 

しかしトンボ鉛筆も、きちんと「定番」を送り込んでいます。それこそが、こちらの木物語です。

 

実は8900も、センターゾーンのセブンイレブンには置いているのです。

それでも僕は、生協の文房具売り場において孤軍奮闘する木物語に、あえて目を向けたいと思います。

 

木目まで見える軸。

あくまでも控えめな印字。

握ってみると、木のぬくもりが指に伝わる…。

紙に走らせると、サリサリとした音が心地よく響きます。

 

しかも、こちらの木物語、ただの鉛筆ではありません。

 

 

控えめに、しかし誇らしげに印字された、「エコマーク商品」の文字。

木物語は、鉛筆で初めてエコマーク認定された、由緒正しきリサイクル鉛筆なのです。

 

芯は、製造プロセスで副生成物として生まれる黒鉛を精製したもの。

軸は、今まで廃棄されていた端材。

端材の結合(フィンガージョイント)の跡には、どこか気高ささえ感じます。

 

そんな木物語について、トンボ鉛筆の担当者の方は、以下のように語っています。

 

「鉛筆は小学生の皆さんが6年間使います。エコマークが入っていたり、木の繋ぎ目が見えている鉛筆を使うことで、子どもたちの心にエコの意識が芽生えたら良いなと思っています。『木物語』を発売した時に小学生だった子どもたちは、すでに大人になっています。この鉛筆は、無言のまま多くの仕事をしてくれました。(「ソーシャルプロダクツ・インタビュー ―株式会社トンボ鉛筆「木物語」―」一般社団法人 ソーシャルプロダクツ普及推進協会(2020年11月11日)

 

 

「この鉛筆は、無言のまま多くの仕事をしてくれました。」

 

 

その仕事には、もちろん、筆記用具としての職務も含まれているでしょう。しかし、それだけではない。

環境問題について、自然について、この鉛筆は語るのです。

仰々しい文句ではなく、美しい木目によって。あるいは、控えめな印字や、軸の繋ぎ目によって。

 

文房具という小宇宙の凄さを、改めて認識した次第です。