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★やさしい日本語でやさしくなりたい!: 背景

「外国の人に話しかける=英語」と思っていませんか?ちょっとした工夫で日本語でも外国の方とコミュニケーションをとれる…そんな素敵な「やさしい日本語」について紹介していきます。

在留外国人の現状

「やさしい日本語」は、市区町村の窓口対応や公的機関の情報発信、ニュースなど在留外国人に向けて使われることが多くあります。そのため、「やさしい日本語」について紹介する前に、やさしい日本語が様々な現場で活用されるようになった背景を「在留外国人」に焦点を当ててお話ししたいと思います。「在留外国人」とは、「中長期在留者」及び「特別永住者」の方の総称で、3か月以上日本に住む人のことを指します。2023年6月末時点で、日本には約322万人の在留外国人が住んでいます。これは前年末より約5%程増加しており、今後も増加する傾向にあると考えられています。

在留外国人に対してなぜ「やさしい日本語」を使った対応が行われているのか。大きな要因として、以下の2つが挙げられます。

①在留外国人の国籍が多様化している

②在留外国人が英語より日本語の方が理解しやすいと感じている

これらについて、統計データをもとに紹介していきます。

① 在留外国人の国籍の多様化

上記の動画は訪日外国人の数を経時的に示したものです。国籍の推移がかなり激しいことがわかると思います。

在留外国人でも同様の傾向がみられ、英語を母語としない国を中心に見てみると、1990年代には韓国籍が多かったものの、中国籍がその後急増し現在も最多となっています。また、ブラジル国籍は、2000年代にかけて日系ブラジル人を中心に急増し、中国韓国に次ぐ第3位になることもありました。現在は、この10年ほどでベトナム国籍が急増、反対に韓国国籍やブラジル国籍は減少傾向にあります。

また、地域ごとに見てみても差や特色があることがわかります。現在の3大都市圏で見てみると、東京はアジア系、大阪は韓国籍、名古屋はブラジル国籍の方が多いようです。

このように英語以外の言語といっても多種にわたる上に、時代や地域によって様子が異なることがわかります。これまでの流れを見ていると、今は少数派の国籍でも10年後はその国の在留外国人が急激に増加していることも予想されます。そのため、日本における在留外国人に向けた情報発信という視点だけで言えば、「この言語だけ習得していればこの先ずっと安心だ」というものは存在しないと言えるかもしれません。

②在留外国人が英語より日本語の方が理解しやすいと感じている

ついつい「外国人=日本語を話せない」と思ってしまいがちではないでしょうか。しかし、東京都に住んでいる在留外国人100名を対象にしたアンケート・ヒアリング調査の結果をみるとその考えはガラッと変わると思います。

在留外国人に日本語の習熟度を聞いたところ、全体の80%以上が日本語での日常会話を行えるレベルにあることがわかりました。「日本語をほとんどわからない」と答えたのは全体としては5%であり、「学生」でやや高い傾向があるものの、これから日本語学校などで勉強するためだと考えられます。

また、在留外国人向けの情報発信をする際に、外国人自身が希望する言語を聞いてみたところ、「やさしい日本語」が1番多く、「英語」がそれに次ぐ結果となりました。(複数選択制。対象100名のうち英語を母語とする在留外国人15名を含む。)

まとめると、「日本語」「やさしい日本語」を希望する人が全体の約52%(98/188)に及ぶことがわかりました。

 

これは余談ですが、日本語の習熟度が高い外国人でも「ひらがな・カタカナ・漢字を使いこなして日本語を書くことや読むこと」は「話す・聞くこと」より課題に感じる外国人が多いようです。そのため、市役所の届出や住居・携帯電話などの契約書の記入などに苦戦する場面があるそうです。(日本人でも届出や契約は難しいですよね…)