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★やさしい日本語でやさしくなりたい!: 医療現場での活用例

「外国の人に話しかける=英語」と思っていませんか?ちょっとした工夫で日本語でも外国の方とコミュニケーションをとれる…そんな素敵な「やさしい日本語」について紹介していきます。

やさしい日本語の活用例

ここまでやさしい日本語の歴史や使い方をお伝えしてきましたが、ではやさしい日本語は実際にどこで使われているのでしょうか。

阪神淡路大震災での教訓から生まれたこともあり、行政や防災事業ではかなり活用されていますが、実は医療現場でも取り入れようとする動きが盛んとなっています。ここでは、「医療現場におけるやさしい日本語を使った外国人対応」がどのように行われているかを紹介します。

「なぜ」医療現場で活用され始めているのか

在留外国人が増加傾向にあるとお話ししましたが、日本で在留外国人同士が家庭を築くケースも増加傾向にあります。東京都が都内在住・通勤の在留外国人に行った調査では、日本人を含まない家族がいると回答したのは約23%に及ぶことがわかりました。

出産・育児を日本で行う在留外国人が増加すれば、産婦人科・小児科をはじめとする医療のニーズも高まってきます。しかし、家族や友人などに日本人が必ずしもいるとは限らないため、在留外国人全員が通訳のような存在を自分で準備して医療機関を受診できるわけではありません。出入国在留管理庁の調査では、医療サービスを受ける際に困難を感じたこととして、「病院で症状を正確に伝えられなかった」(15.6%)が最多であったと報告されています。

命を扱う医療現場で、伝えたいことが伝えられない・伝わらないというのはとても危険です。そのため、「医療安全対策」という観点からやさしい日本語を活用したコミュニケーションの普及が図られています。

「どのように」医療現場で活用されているのか

医療現場で使われているといっても、やさしい日本語を使った伝え方はこれまでに紹介した方法と全く同じです。医師による診察、採血などの検査、服薬指導などで話し言葉によるやさしい日本語を使うことが有効であるとされています。特に医師は問診の際にやさしい日本語を使うことで、患者さんである外国人が何を訴えているのかをより正確に拾い出すことができると考えられています。

ただし、医療業界ではオノマトペを使った表現が多いので、注意が必要です。例えば、皆さんも「おなかが痛い」ことを表現するために、「キリキリ」「ズキズキ」「ゴロゴロ」「シクシク」などいろいろなオノマトペで表現すると思いますし、医師にもどのように痛いか表現するように求められた経験があるのではないでしょうか。そのうえ、「キリキリ」「シクシク」などを別の表現にすぐ言い換えるのは、オノマトペに慣れ親しんでいる日本人にとって難しく感じると思います。

そこで、オノマトペをやさしい日本語や複数の外国語で言い換えた一覧表(オノマトペシート)を用意する団体や病院もあります。一覧表を外国人の患者さんに見せながら、病状がどのオノマトペに近いのかを共有することができます。

また、問診票などにフリガナをつけたり、多言語対応の問診表を用意するなどの取り組みも行われています。