Skip to Main Content

★やさしい日本語でやさしくなりたい!: やさしい日本語以外の取り組み

「外国の人に話しかける=英語」と思っていませんか?ちょっとした工夫で日本語でも外国の方とコミュニケーションをとれる…そんな素敵な「やさしい日本語」について紹介していきます。

やさしい日本語の限界

ここまでお話ししていると、やさしい日本語はメリットがたくさんあって様々な場面で活用できるように思えます。しかしながら、やさしい日本語にもデメリットがあります。それは、

「外国人本人の質問・疑問を聞き出すことができない」

ということです。例えば、病院の医師との問診で治療が必要な最低限の主訴を聞き出すことや検査・治療の方針について説明をすることはやさしい日本語によってうまくできる可能性があります。

しかし、「いつまでこの症状が続くのか」「ほかの治療法はないのか」「さっきの説明がよくわからなかった」などといった患者さんが抱える質問・疑問を引き出すことはなかなかできません。これは、やさしい日本語が迅速な情報発信には長けているものの、外国人側から情報を発信・提供してもらうには、外国人本人の日本語習熟度に大きく依存してしまうためです。

医療現場をはじめとした双方向のコミュニケーションが必要とされる場面では、やさしい日本語だけだと不十分である恐れがあります。外国人の方からの情報発信に気づくために、やさしい日本語のほかにもどのような外国人対応の取り組みが行われているのかについて、「医療現場における取り組み(医療現場編)」私たちが今日からできる取り組み(マインド編)」について紹介していきます。

コラムその2・外国人対応は病院を守るためでもある

医療機関における外国人対応は、国や関連協会から指針が示されたり、各医療機関がマニュアル作成などを行うことで整備が加速しています。もちろん、これは慣れない他国で病気やけがをして不安を感じる外国人患者の不安を少しでも取り除くための対応ですが、「医療機関を守る」という対策でもあります。

近年、外国人患者と医療機関との間のトラブルで問題視されているのが「医療費の未収金」です。これは、支払い期限を過ぎても医療機関が治療費を回収できない状況で、外国人患者が日本の医療制度や保険についての理解がないために生じることなどが原因として挙げられます

令和4年度の厚生労働省「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」では、28.4%の病院で外国人患者による未収金が生じていると報告されています。また悪質なケースでは、在留外国人が不正な身分証明書を利用して入院・手術をし、退院後連絡が取れなくなってしまい、100万円以上の未収金が生じているというものもあります。このように医療費が回収できないと、医療機関の経営逼迫につながる恐れもあります。

このような経営逼迫や訴訟につながるようなトラブルを回避するために外国人患者対応はどこの病院でも整備していかないといけない課題となっています。