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★三大栄養素の一つ!脂質について知って欲しいこと: 脂肪酸とステロイド

私が毎日体に取り入れなければならない三大栄養素「脂質・糖質・タンパク質」。今回はその内ダイエッターが避けがちな脂質の重要性について見ていきましょう!

目次

重要な脂質の構成単位

ほとんどの脂質は水に溶けません。その理由は「極性が小さい」ことにあります。極性は簡単に言うと電子の偏りです。ここでは詳しく説明しませんが、「極性が小さいと水に溶けにくい」と考えてください。逆に考えると、極性の大きい脂質は水に溶けやすいことになります。

さて、そんな脂質には多様な分子種があり、その多くが構成単位として脂肪酸を保有しています。脂肪酸は「炭素鎖を持つ1価のカルボン酸」であり、炭素鎖が2~4個の物を短鎖脂肪酸、炭素鎖が5~12個のものを中鎖脂肪酸、それより長いものを長鎖脂肪酸と呼びますが、この定義は分野によって異なる場合があり、さらに長いものを超長鎖脂肪酸や極長鎖脂肪酸と呼ぶ分野もあります。また、(私たちの体を主に構成したり、普段の食事から摂取するような)一般的な脂肪酸の表記としてCx:yωz(xは炭素数、yは不飽和結合の数、ωzは二重結合の位置を表す、ωはオメガと読む)が用いられています。Cx:yn-zと記述する場合もあります。代表的な脂肪酸を以下に示すと

C2:0 Acetic acid 酢酸

C12:0  Lauric acid ラウリン酸

C16:0 Palmitic acid パルミチン酸

C18:1ω9 Oleic acidオレイン酸

C20:4ω6 Arachidonic acid アラキドン酸

C20:5ω3 Eicosapentaenoic acid エイコサペンタエン酸(EPA)

C22:6ω3 Docosahexaenoic acid ドコサヘキサエン酸(DHA)

(オレイン酸)

(DHA)

もちろんここにある脂肪酸はほんの一部です。日本の脂質データベースであるLipidBankでは現在脂肪酸として755種もの分子が登録されています(2021年1月時点)

このように脂肪酸が多様な為、しばしば脂質の構造式では炭素鎖(アシル基と呼びます)部分を省略して、R(=O)-OHと書きます。

ヒトは身体で様々な脂肪酸を作り、また食事から摂取していますが、各組織への分布は偏っています。例えば、DHAは脳や神経系に多く含まれています。

脂肪酸は単純脂質や複合脂質の一つの要素であり、これらの脂質が分解される時は脂肪酸が出てくることになります。

ステロイドとはどんな物質でしょうか?スポーツのドーピング問題で時々話題になることがありますね。筋肉増強作用がある薬です。では本来ステロイドは危険なモノなんでしょうか?いえ、ステロイドは常に私たちの体内で合成されています。筋トレを例に挙げると、テストステロンが分泌されて筋肉増強ややる気増加に繋がるなんて耳にしますよね。そう、つまりステロイドの多くはホルモンとなる物質です。ドーピングは筋肉増強作用のあるホルモンを外部から過剰に摂取する行為が問題となっています。

逆にホルモンとしてではなく、一般的に脂質の構成物質として働くのはステロイドの一種、コレステロールです(下図構造)。

コレステロールは一般に動物しか作ることができず、動物しか持っていません(例外あり)。そのかわりに植物はフィトステロールという植物特有のステロールを持っています。これが実はサラダ油広告のカラクリに使われています(右枠:よもやま話③参照)。

さて、コレステロールは新血管系の病気につながると言われており、健康診断でも血中コレステロール量は一つの指標になっています。ではコレステロールが非常に多く含まれている卵は食べすぎると良くないんでしょうか?結論としては卵を一日一つ食べても大丈夫だと言われています。コレステロールを多く摂取すると人はその分体内で作る量を減らします。加えて卵が特に多いというだけで、肉や魚にもコレステロールは一定量含まれています。2つ3つ食べても多くの人は問題ありませんが、例外的に血中コレステロール量が増加する人もいます。卵は良質なタンパク質やビタミン類が満遍なく含まれている優れた栄養食材です。糖質はほとんど含まれていないため、おやつとして茹で卵を食べても良いですね。

参考資料

JA全農株式会社:たまごAtoZ https://www.jz-tamago.co.jp/customer/atoz/basic/a2z00016794/

脂質よもやま話③

 コレステロールゼロのカラクリ 

皆さんが普段購入している食用油(サラダ油・ごま油・えごま油)のパッケージにはこのフレーズが書かれていませんか?

「コレステロールゼロ」

さて、左記のステロールの項を読んだあなたならもうお分かりでしょう。植物から抽出されたサラダ油には最初からコレステロールは含まれていないのです。

 

では何故食用油メーカーは「コレステロールゼロ」を表記するのか。答えは単純で、そうした方が売れるからです。人々の健康意識がコレステロールゼロと表記させているのです。なので皆さんがスーパーで食用油を購入する時は特に気にする必要はありません。パッケージを見たら「お、書いてるな」くらいに思っておいてください。