一口に脂質と言ってもその種類は多岐に渡ります。物質としての性質や人体で担う機能も多様であり、全てを説明すると分厚い書籍になってしまいます。本ガイドでは普段から摂取している食事に含まれている脂質と、近年サプリメントや化粧品のコマーシャルで耳にすることがあるような比較的身近な脂質についてわかりやすく解説することを目的にしています。
例えば脂肪酸は脂質の基本的な構成物質であり、オレイン酸やDHAがこれに当てはまります。脂肪酸が骨格となるグリセロールと結合すると、トリアシルグリセロール(中性脂質)やホスファチジルコリン(リン脂質)といったより大きな脂質の単位となります。脂質の種類は脂肪酸やグリセロールといった構成する要素によって構造が異なってくるため、膨大なパターンが生まれてきます。
それではこれより、多様で興味深いリピッド・ワールドを覗いてみましょう。
(細胞内に多量のDHAを中性脂質として蓄積する不思議な海洋微生物・ラビリンチュラ。「迷宮」という意味の「ラビリンス」から命名された。)
私たちの身体に欠かせない脂肪
脂肪は邪魔なもの?ダイエットの敵?
まあ、ダイエットの敵かと言われたらそうかもしれませんが、一方で体脂肪無しに私たちは生存することはできません。体脂肪(脂肪細胞)はエネルギー源のみでなく、転んだ時の内臓を守るクッションの役割や、健康の維持に欠かせないホルモンを産生することでも知られています。
男性であれば10~20%、女性であれば20~30%が理想の体脂肪率だと言われています。ボディビルダーやボクサーの中には体脂肪率が7、8%の人もいますが、彼らも年中一桁の体脂肪率をキープしているわけではありません。体重制限を突破する為、あるいは筋肉を目立たせる為に一時的に極限まで脂肪を落としているのです。健康のためにもオススメはできません。