ここでは、白血球の基礎について説明していきます(*^-^*) /
<白血球の種類と働き>
白血球は血中に6000 個/μL前後であり、赤血球と比べると少ないです。
出生時は20000個/μL(7割ほどがリンパ球)なのが徐々に減っていき、15歳くらいになると7000個/μL前後になります。
↑白血球は、顆粒球・単球・リンパ球に大別され、
さらに顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球に分けられます。
①好中球
パブリック・ドメイン / File:Neutrophil.jpg / Wikipedia
パブリック・ドメイン / File:PBNeutrophil.jpg / Wikipedia
●形態
・直径は12~15 μm 。
・健常者の末梢血液で見られる好中球は核の形から、
桿状核球:細長い棒状の核が曲がっている。
分葉核球:桿状核球より成熟が進み、核が2つ以上にちぎれて
細い糸状のクロマチンでつながれたように見えるもの。
…に分けられます。
・ペルオキシダーゼ染色という特殊な染色によって染まることができます
(ペルオキシダーゼ染色 陽性)
・寿命は4~10時間といわれています。
●機能
異物、特に細菌などの病原菌などを処理する。
運動走化性(異物の方へ向かう)
+貪食能(異物を取り込む)
+殺菌能(酵素によって異物を分解する)
②好酸球
パブリック・ドメイン / File:PBEosinophil.jpg / Wikipedia
●形態
・好中球よりも少し大きく、直径13~18 μm。
・鮮やかな赤橙色の大きな顆粒が、細胞質内に充満している
・核は2分しているものが多く、丸く見える。
●機能
好中球同様に、運動走化性+貪食能+殺菌能(少し弱い)を持ち、特に寄生虫に対する殺傷作用があります。
一方、アレルギー性疾患における炎症を形成してしまうという作用もあります。
③好塩基球
パブリック・ドメイン / File:PBBasophil.jpg / Wikipedia
●形態
・大小さまざまな顆粒が細胞質に見られる。
メチレンブルー(青色)という色素で染めると、暗紫色に染まる
(色素の色と違う色に染まることをメタクロマジーといいます!)
●機能
特にアレルギー反応に関与する。
・ヒスタミンを放出し、アレルギー反応(アナフィラキシーショックや
じんま疹、喘息など)を起こす。
・好酸球をひきつける走化因子を出す。
④単球
GFDL / File:Monocyte 40x.JPG / Wikipedia
●形態
・白血球の中で一番大きい。
・核は陥凹しているような形。(腎臓のような形、馬の蹄のような形)
●機能
血管内から血管外に出ると、マクロファージに変化して働くようになります。
・走化+貧食+異物処理(好中球と同じような働き。少し遅れてやってくる)
・免疫能 (異物である抗原を貧食し、それをリンパ球に伝える。抗原提示)
・顆粒球 & 単球の産生を刺激する造血因子(G-CSF、M-CSF)を分泌する。
⑤リンパ球
CC 表示-継承 3.0 / File:Lymphocyte2.jpg / Wikipedia
●形態
・大小さまざまで、形はほぼ円形。
・細胞質は澄んだ青色。
・核も円形。
●機能
リンパ球は、機能によってさらに細かく分けられます。
・B細胞・・・体液性免疫。抗原から刺激を受け形質細胞へ分化し、
抗原と特異的に結合し傷害する免疫グロブリンを産生する。
・T細胞・・・細胞性免疫。
ヘルパーT細胞 (B細胞から形質細胞への分化を促進する、
サイトカインの産生分泌)
サプレッサーT細胞 (B細胞の分化を抑える)
キラーT細胞 (ウイルス感染細胞、移植細胞、腫瘍細胞などの
異常な細胞を傷害して死滅させる。抗原感作が必要。)
・NK細胞・・・抗原感作がなくても、異常な細胞を自然に認識し傷害する。
成熟した白血球になるまでに・・・
造血幹細胞が分化する最初の段階で、
顆粒球や単球などの「骨髄系細胞」と「リンパ系細胞」に分かれます。
【骨髄系細胞】
ここでは、その骨髄系細胞の中でも好中球について説明していきます!
↑好中球の分化と成熟の様子 @骨髄
(左から右へ進んでいきます)
好中球は上の図のように成熟していきます!
顆粒は、きわめて未熟な段階では存在しませんが、成熟していくにつれ
・アズール顆粒(一次顆粒)
・・・ペルオキシダーゼ、酸ホスホリラーゼなどの酵素が含まれています。
アズール色素で染めることができます。
⇩
・二次顆粒・・・リゾチーム、ビタミンB12結合蛋白、β2-ミクログロブリンなどが含まれます。
が出現してきます。
その後、成熟型である桿状核球や分葉核球になれば、骨髄から血中に出て行くことができます。
しかし、成熟したらすぐ出て行くのではなく、ある程度骨髄内に貯蔵されます(貯蔵プール)。
血中に出てきた好中球も全てが血中を循環しているわけではなく、
循環する循環プールと、血管の内側の壁の辺縁にとどまる辺縁プールの
2つに分かれていて、お互い自由に交換して平衡状態を保っています。
なので、血液検査で数えられた好中球の数は循環プールのものであり、
実際に血中にあるのはその2倍あるんです!
【リンパ系細胞】
造血幹細胞から分化したリンパ系細胞は、
さらに分化するとT細胞とB細胞の2つに分かれていきます!
①T細胞へ!
まずリンパ系細胞は、将来T細胞になる前T細胞へ分化します
前T細胞:細胞の表面にはCD7というマーカーが存在しています。@骨髄
⇩胸腺に移ると…
胸腺細胞:表面にCD4やCD8が出現します。
⇩
※正の選択・負の選択
胸腺では、自分自身(自己抗原)に反応してしまうT細胞を
排除・死滅させる負の選択と、自分の主要組織適合抗原(MHC)を
認識することのできるT細胞を残す正の選択が行われます。
⇩
さらにヘルパーT細胞(CD4が出現している)と
サプレッサーT細胞・キラー細胞(CD8が出現している)の2つに
分かれて分化し、成熟するとリンパ節や末梢血に移行します。
T細胞の増殖・分化にはIL-2というサイトカインが特に関与します。
①B細胞へ!
まずリンパ系細胞は、将来B細胞になる前B細胞へ分化します
B細胞の増殖には特にIL-4とIL-5というサイトカインが、
さらに形質細胞への分化・増殖にはIL-6が特に関与します。
前B細胞:細胞の表面にはCD19というマーカーが出現します。@骨髄
⇩細胞質に免疫グロブリンの1つIgM(μ鎖)が出現。
未熟B細胞:細胞の表面にもIgM出現します
⇩
成熟B細胞:細胞表面にIgM以外の免疫グロブリンも出現。
リンパ節や末梢血に移行します。
その後、分裂を繰り返しながら、骨髄やリンパ組織内で形質細胞に分化し、
その細胞質内で免疫グロブリンを産生するようになります。