一般的に「血液の癌」と言われる白血病…
白血病とは悪性腫瘍の一つで、増殖した異常な白血球が全身の骨髄や臓器に広がるとともに、末梢血中にも出現する病気です。
白血病といっても、いろいろな種類があり、病気の型によって症状・検査初見・治療が全く異なります。
現在、白血病を急性と慢性に分け、さらにリンパ性と骨髄性に分ける方法がよく用いられています。
分類の型によって予後も違ったりすることから、この分類である程度の治療法を決定したりするそうです。
(主に化学療法。急性で予後不良な症例、慢性では同種骨髄移植も行なう。)
【急性白血病】 ※FAB分類
①リンパ性(ALL)
CC 表示-継承 3.0 / File:Acute leukemia-ALL.jpg / wikipedia
・L1:小細胞性。
・L2:大細胞性。
・L3:バーキット型。
②骨髄性(AML)
・M0:微分化型。主な白血病細胞は、骨髄芽球。ペルオキシダーゼ染色では陰性を示す。
・M1:未分化型。主な白血病細胞は、骨髄芽球。3%以上ペルオキシダーゼ染色陽性。
パブリック・ドメイン / File:AML-M1.jpg / wikipedia
・M2:分化型。白血病細胞が骨髄芽球から、前骨髄球への分化がみられる。時に染色体8;21転座
・M3:前骨髄球性。白血病細胞の大部分を、前骨髄球が占める。染色体15;17転座
・M4:骨髄単球性。骨髄芽球や前骨髄球と、単芽球や単球が混在している。
・M5:単球性。単球系の細胞が大部分を占める。
・M6:赤白血病。骨髄中で赤芽球が50%以上占めている。
・M7:巨核芽球性。ペルオキシダーゼ染色では陰性を示す。ただし、電子顕微鏡で見る血小板ペルオキシダーゼ染色では陽性。
※AMLでは、アウエル小体という針のようなものが骨髄芽球や単芽球の細胞質に見られることがあります。(真ん中下の細胞や右下の細胞)
M3では特に見られ、多数のアウエル小体が束のように出現する細胞をFagot cellと呼んだりします。
パブリック・ドメイン / File:Faggot cell in AML-M3.jpg / wikipedia
【慢性白血病】
①リンパ性(CLL)
②骨髄性(CML):フィラデルフィア染色体という異常な染色体がみられます。
フィラデルフィア染色体は、22番染色体と9番染色体に転座が起こり、その結果c-ablとbcrという遺伝子が融合し(⇒BCR/ABL遺伝子)
異常なタンパク質を産生し、異常細胞が増えるようになります。
CC 表示-継承 3.0 / File:Philadelphia chromosome.jpg / wikipedia
CC 表示-継承 3.0 / File:慢性白血病.png / wikipedia
★ちなみに正常な骨髄はこんな感じだそうです。
未熟な細胞から、成熟した細胞まで様々な細胞が見られます。
GFDL / File:Bone marrow WBC.JPG / wikipedia
上の分類以外にも特殊な白血病がいくつかあります。
ここでは2つ紹介したいと思います!
【成人T細胞性白血病(ATL)】
40歳以上の成人に発症し、主な白血病細胞はヘルパーT細胞(表面マーカー:CD4)であり、CLLの特殊型です。
白血病細胞にはHTLV-1ウイルスが認められ、また患者血清に抗HTLV-1抗体も存在することから感染と発症の関連性が疑われています…
特徴として、核にいくつかの切れ込みが入った細胞(Flower cell)がみられます。
【骨髄異形成症候群(MDS)】
FAB分類で、AMLになる手前の段階のことをMDSと呼んで区別しています。
MDSで見られる血球形態異常には以下のようなものがあります。
・赤芽球系:巨赤芽球様細胞、多核赤芽球、環状鉄芽球
・顆粒球系:偽性ペルゲル核異常、核の過分葉、顆粒の減少~消失、アウエル小体、ペルオキシダーゼ陰性好中球、好中球アルカリホスファターゼ活性低下
パブリック・ドメイン / File:Hypogranular neutrophil with a pseudo-Pelger-Huet nucleus in MDS.jpg / wikipedia
↑偽性ペルゲル核異常(鼻眼鏡のような核が見られる)
・巨核球・血小板系:巨大血小板、小型巨核球、円形巨核球
パブリック・ドメイン / File:Megakaryocytes in MDS (RAEB and 5q-chromosome abnormality).jpg / wikipedia
↑異常な巨核球(小型)