医療系のドラマで手術中、
患者の心拍が低下、
心電計のアラームがなる。
除細動器(DC)で胸のところに
電気刺激を
ドン!と送り、
患者の心臓が一定のリズムで
動き出す・・・
のような場面をほとんどの人が
見たことがあるのではないでしょうか?
最近では街中でもAEDという
自動体外式除細動器が
設置してあることに
気づくかと思います。
心臓は全身に血液を
送り出す大事な臓器です。
血液が脳へ送られなくなると
約10秒でめまい・意識消失がおこり、
3~4分で脳の不可逆的変化がおき、
死亡、もしくは心拍が再開しても
重い後遺症が残る場合があります。
突然、目の前で人が倒れたとき、
私たちに何が出来るでしょうか?
心停止後(ほとんどの場合が心室細動*とされている)は、
すぐ除細動**を行なえば100%近く救命が可能ですが、
1分遅れるごとに救命率は7~10%低下するとされています。
総務省消防庁の平成27年度版 救急・救助の現状によると、
119番通報から救急車が現場に到着する時間の全国平均は8分36秒で、
福岡市では6分27秒(福岡市消防局 平成26年消防年報)と、
全国に比べ救急車の到着が早い福岡でさえ、119番通報してから何もせず
救急車を待っていると救命の可能性が40%程度まで
低下する可能性があります。
下の図は、救命の連鎖です。この救命の連鎖は海外でも作成されており、
少しずつ広まってきています。この連鎖がすべてうまく働くことによって
救命の可能性は大きく向上します。救命の連鎖には4つの鎖が存在しています。
1.「心停止の予防」
心臓や呼吸が止まってしまった場合の救命処置も大事ですが、何よりも突然死を
未然に防ぐことが一番効果的です。 これには生活習慣の改善が必要だと考えられています。
2.「早期認識と通報」
突然倒れた人や、反応のない人をみたら、ただちに心停止を疑うことが大切です。
心停止の可能性があれば大声で応援を呼び119番通報とAEDの手配をすぐに行ないましょう。
3.「一次救命処置」
心停止の可能性がある場合は心肺蘇生法やAEDによって循環の維持を行ないます。
心臓が止まっている間、心肺蘇生によって脳や心臓に血液を送り続けることが、心臓の
動きが戻った後に後遺症を残さないためにも非常に有効です。
4.「二次救命処置と心拍再開後の集中治療」
救急救命士や医師が、薬や器具などを使用して心臓の動きを取り戻し、
社会復帰を目指します。
救命の連鎖
参考:厚生労働省,救急蘇生法の指針2015 市民用
*心室細動 ventricular fibrillation(VF)・・・ 心室細動は非常に重篤な不整脈です。
心室内で多数の不規則な電気信号が発生し
た状態となり、心臓からの拍出がほぼ0となる疾患。
発見したら、すぐに心肺蘇生(心臓マッサージ・人工呼吸)、
電気的除細動を加える必要があります。
**除細動・・・心臓に電気刺激を加え、異常な心臓の興奮波の旋回をいったん停止させ、新たな旋回を
生ませず、その後、正常な興奮伝導が再開し、機械的な収縮が再開することを期待し
蘇生に導く方法。そのため、異常な興奮旋回が関与していない心停止では
心肺蘇生のほうが効果的です。