円筒状の原形質構造とそれを取り巻く軸糸からなり、その外側にエンベロープがあります。
運動性であるが、鞭毛によるものでなく、軸糸の伸縮によるもので、曲がったり回転したりの固有運動をします。
◆Treponema属◆
人工培養不可(口腔内に生息するものは例外)で、ウサギの睾丸内で継代。
ギムザ染色、鍍銀法、暗視野法で観察
Treponema pallidum(梅毒トレポネーマ)
細長いらせん状、8〜14の規則的な回転形をしている
主に性交渉によって感染(STD)
病状による分類
第1期:硬性下疳、無痛性横痃
第2期:バラ疹
第3期:ゴム腫
第4期:脊髄癆、変性梅毒
先天性梅毒:ハッチンソン三主徴(ハッチンソン歯、実質性角膜炎、内耳性聾)
☆梅毒の血清学的診断☆
非特異的反応:脂質であるカルジオリピンとレシチンを抗原に用いる方法(STS)
①補体結合反応(ワッセルマン反応、緒方法)
②沈降反応(ガラス板法、VDRL法)
③凝集法(RPRカードテスト)
特異的反応:梅毒トレポネーマ自体を抗原とする方法、感度および特異度が高い
→抗体を持っているかどうかの反応なので、必ずしも新しい感染を示す訳ではありません。
①TPHA
②FTA-ABS
◆Borrelia属◆
ゆるい不規則な回転を持つらせん状の微生物
アニリン系色素によく染まる
回帰熱ボレリア
シラミが媒介:回帰熱ボレリア(Borrelia recurrentis)
ダニが媒介:ダットン回帰熱ボレリア(Borrelia duttonii)
人工培養不可、発育鶏卵の漿尿腔に接種するかマウスに接種して継代
☆ダニが媒介=ダットン と覚えましょう
Borrelia burgdorferi(ライム病)
マダニによって媒介
人工培養可能
◆Leptospira属◆
規則正しいコイル状、片側または両端がかぎ状に曲がっている
鍍銀法、暗視野法、蛍光抗体法で観察
人工培地で好気的に発育→ウサギ血清を加えたコルトフ培地、フレッチャー培地が用いられる
人畜共通感染症
ワイル病、秋疫A,B,Cの原因微生物である
ネズミなどの病原体保有動物の尿で汚染された下水などから経皮的に感染
人工培地に発育可能な自己増殖性微生物の中で最小(細胞濾過器を通過)
真の細胞壁を完全に欠き、細胞表面が3層からなる限界膜に覆われている(多形性)
DNA,RNAの両核酸を持つ
PPLO培地に育ち、運動性を持たない
Mycoplasma pneumoniae (肺炎マイコプラズマ)
原発性異型肺炎の起病菌
PPLO寒天培地で目玉焼き状コロニーを形成
ブドウ糖発酵、尿素非分解、モルモット赤血球吸着性
リケッチア症に関連する細菌は、リケッチア科、エールリキア科からなります。
ダニ、ノミ、シラミなどの節足動物(媒介動物)を介し、ヒトその他の保菌動物に寄生して病原性を発現します。
偏性細胞寄生性
光学顕微鏡で観察可能、一般細菌より小さいが、細胞濾過器で濾過されない⇔Mycoplasma
核酸はDNAとRNAの両方をもつ
人畜共通感染症のひとつ
☆血清学的診断法☆
補体結合反応(CF)、間接免疫ペルオキシダーゼ法(IP)、ELISA,間接蛍光抗体法(IFA)、ワイル・フェリックス反応(WFR)
Rickettsia属
WFR:OX19
Orientia属(ツツガ虫病)
WFR:OXk
ー国立感染症研究所感染症情報センター 感染症発症動向調査週報 感染症の話 オウム病より引用
クラミジアは最も小さい細菌です。
上にクラミジアの生活環を載せています。参考までに。
染色にはギムザ染色、マキャベロ染色(網様体:青、基本小体:赤)を用います。
偏性細胞内寄生性で発育鶏卵、培養細胞、マウス腹腔内などが用いられます。
Chlamydia trachomatis
性感染症(STD)としての検出頻度が高い
ヨード反応陽性(封入体内にグリコーゲンを蓄積しているため)
サルファ剤に感性
Chlamydia psittaci
鳥類・哺乳類に感染し、ヒトにオウム病を起こす人畜共通病原体
ヨード反応陰性⇔Chlamydia trachomatis
サルファ剤に耐性⇔Chlamydia trachomatis
”つつがない”とツツガムシ
みなさんは”つつがない”という言葉を使ったことがありますか?
改まったお手紙などで、相手の健康を気遣う時などにも使う言葉ですよね。
この”つつがない”という言葉、ツツガムシが語源であるという説が多くあります(私もそう思っていました)が、それはどうやら間違いのようです。
もともと恙(つつが)には病気や災難という意味があり、そうでない状態として恙無い=つつがない、という慣用句ができました。
一方、これとは別に正体不明の虫さされの後に発症する原因不明の致死的な病気があり、これは恙虫という妖怪に刺されて発症すると考えられていました。
これをツツガムシ病と呼ぶようになり、最後に、この病気を媒介するダニの名前がツツガムシとなったのです。
ーWikipediaより引用