Pseudomonas属は湿潤環境に好んで生息する。
この中でも緑膿菌は病院内環境の水まわりに長時間定着し、院内感染症の原因となっている。
最近では多剤耐性緑膿菌 (MDRP) による院内感染が問題となっている。
Pseudomonas aeruginosa (緑膿菌)
桿菌ではあるが、多形性、極単毛 をもつ⇔ その他のPseudomonas属
ブドウ糖を酸化的に分解する ⇔ 腸内細菌、ビブリオ属は発酵分解
青緑色色素ピオシアニン産生 (キングA培地)
41℃での発育:◯ 4℃での発育:×
Pseudomonas fluorescens
極多毛の叢毛性 ⇔ 緑膿菌
蛍光黄緑色素ピオベルジン産生
語呂:ベルが 光る (ベル:ピオベルジン 光る:”蛍光”を意味するfluorescens)
41℃での発育:◯ 4℃での発育:◯
Pseudomonas putida
極多毛の叢毛性 ⇔ 緑膿菌
41℃での発育:× 4℃での発育:◯
ピオシアニン非産生、ピオベルジン産生
Burkholderia cepacia
極多毛の叢毛性
4℃での発育:× 41℃での発育:〇
ピオシアニン、ピオベルジンともに非産生
Bordetella pertussis (百日咳菌)
分離にはボルデー・ジャング培地を用いる(せき平板法)
非運動性
Brucella属
発育因子としてチアミン、ナイアシン、ビオチンを必要とする
感染動物、汚染物からヒトに感染(ブルセラ症)
細胞内寄生菌
Francisella tularensis subsp. tularensisi (野兎病菌)
マウス腹腔内接種により菌を分離する
生食水中で多形性、蒸留水中で球形
ヒトからヒトへの感染なし⇔感染動物やダニより感染
Legionella pneumophila
循環式温泉浴槽、噴水などの人口環境水に高頻度に生息。
ヒメネス染色 (グラム染色は不適)
細胞内増殖性
BCYE-α培地に発育する(×普通寒天、血液寒天)
発育因子としてL-システイン、鉄化合物を要求する。
馬尿酸を加水分解、糖類の分解なし
極単毛を持ち運動性。
ポンティアック熱、レジオネラ肺炎の原因菌
◆ レジオネラ肺炎の診断 ◆
適切な培地を用いても菌が分離されない症例も多い
→血清抗体価、尿中抗原、PCRなどによる特異遺伝子の検出など
☆☆尿中レジオネラ抗原検査キット☆☆
レジオネラ肺炎患者の尿中に多量の菌体抗原が排出されることを利用した検査法
本症が疑われる患者尿を採取し、尿中のレジオネラ抗原を特異的に認識するポリクローナル抗体を利用したイムノクロマト法を原理とし、15分間で迅速・簡便に本菌の検出が可能なキット
尿中レジオネラ検出キット アリーアメディカル株式会社ホームページより引用
在郷軍人病
1976年7月、米国のペンシルバニア州フィラデルフィアのあるホテルで在郷軍人(退役軍人)大会が開催されました。
このホテルでは、レジオネラ菌がクーリングタワーを循環している水の中で増殖し、それがエアコンの室内機に空いた穴から霧状に室内へ噴射され、その部屋で集まりを待っていた退役軍人に劇症肺炎が集団発生しました。
感染者は退役軍人に留まらず、付近の住民、通行人にまで及びました。
感染者は大会参加者約1500人中149人、その他の関係者32人で死者は29人でした。
当時、レジオネラ菌自体が知られておらず、原因不明の病気で参加者多数に死者が出たことから、何かの陰謀ではないかと大騒ぎになりました。
この事件がきっかけでレジオネラ肺炎に在郷軍人病という名前がつけられました。
ーC言語講座より引用