抗菌薬は、その作用機序によってグループに分ける事ができます。
βーラクタム系、バンコマイシン:細胞壁合成の阻害
アミノグリコシド・マクロライド・テトラサイクリン・クロラムフェニコール:タンパク質合成の阻害(リボソーム)
ニューキノロン:DNAジャイレースの阻害
ST合剤:葉酸合成の阻害
語呂:あみたん テトラポットまで クロールで 真っ黒 (あみ:アミノグリコシド たん:タンパク質合成阻害 テトラ:テトラサイクリン クロ:クロラムフェニコール 真っ黒:マクロライド)
◆βーラクタム◆
「ム」で終わるもの多い(セフェム、カルバペネムなど)
ペニシリン系:
語呂:ペンG はよ渡さんかい。 (ペンG:ペニシリンG は:肺炎球菌 よ:溶レン菌)
セフェム系:
語呂:ジジイと緑茶 (ジジイ:セフタジジム 緑茶:緑膿菌)
☆β-ラクタム環は構造が細胞壁のもとになるものに似ていて、これが細胞壁に細胞壁を作るタンパクに結合することにより細胞壁を作ることができなくなる
◆マクロライド系◆
代表薬:エリスロマイシン、クラリスロマイシン(・・・マイシン)
適応:非定形菌や肺炎に強い(マイコプラズマ、レジオネラ、クラミジア)
☆肺胞マクロファージに取り込まれ、再放出されるため、肺胞内濃度は血中の何十倍にもなる
語呂:枕元に エリスと クラリス 舞妓はん (枕:マクロライド エリス:エリスロマイシン クラリス:クラリスロマイシン 舞妓はん:マイコプラズマは肺炎)
舞妓はん クレジットカード ピロリん 百万円 (舞妓:マイコプラズマ ク:クラミジア レジ:レジオネラ カ:カンピロバクター ピロリ:ぴロリ菌 百:百日咳菌)
◆テトラサイクリン系◆
代表薬:ミノサイクリン(・・・サイクリン)
適応:非定形菌やSTDに強い
リケッチア感染症、野兎病、ライム病などの野山系、旅行系、動物系にも強い
副作用:歯の着色
禁忌:乳幼児、妊婦(骨代謝に影響)
語呂:みの◯◯た サイクリング中 歯が汚いのに 笑いまくり (みの・・・サイクリン:ミノサイクリン 歯が汚い:歯の着色 ま:マイコプラズマ く:クラミジア り:リケッチア)
◆アミノグリコシド系◆
代表薬:ゲンタマイシン、ストレプトマイシン
適応:ゲンタマイシン(グラム陰性桿菌)ストレプトマイシン(結核菌)
副作用:耳毒性、腎毒性(副作用が強い!!!)
語呂:ミミのグリコシド (ミミ:耳毒性)
ストーカー 源太 網タイツとブラ盗む (ストーカー:ストレプトマイシン 源太:ゲンタマイシン 網:アミノグリコシド、アミカシン とブラ:トブラマイシン)
◆ニューキノロン◆
代表薬:レブフロキサシン(・・・フロキサシン)
☆DNAジャイレースの阻害に作用する→どの感染症にも効くが、乱用してはいけない!)
禁忌:小児、腎障害者
◆ST合剤◆
適応:ニューモシスチス・カリニ肺炎、尿路感染症
☆葉酸合成を阻害
語呂:サル・トリ・ようさん・にゃ・にゅ・にょ (サル:サルファメトキサゾール トリ:トリメトプリム ようさん:葉酸 にゅ:ニューモシスチス・カリニ肺炎 にょ:尿路感染症)
◆抗結核薬◆
語呂:結核薬作ってリエちゃんピィス (結核薬:結核 リ:リファンピシン エ:エタンブトール ピ:ピラジナミド ィ:イソニアジド ス:ストレプトマイシン)
磯野ー、かま(って)ちょ (磯野:イソニアジド か:肝障害 まちょ:末梢神経障害)
リ肝ピシン(肝障害)
視エタンブトール(視神経)
☆ストレプトマイシンはアミノグリコシド系であるため、腎毒性、耳毒性
抗菌薬は作用の仕方により、二つの種類に分けられます。
静菌作用:増殖中の菌の発育速度のみを抑える作用
→常に有効血中濃度以上を維持する必要がある (テトラサイクリン、クロラムフェニコール、マクロライド系)
殺菌作用:増殖中の菌を殺す作用
(β-ラクタム剤、アミノ配糖体系薬剤、ニューキノロン)
一口に抗菌薬と言ってもいろんな種類があるのですね・・・。
薬剤耐性とは、治療に用いられる抗生剤に対して対象となる菌が耐性を示すことです。
広域なスペクトルをもつ薬剤を多用することで耐性菌が出現しやすくなります。
従来の薬剤が効かなくなる事で症状が治りづらくなり、重篤化したり、他の人に感染させるリスクが高まります。
現在、特に問題となっている薬剤耐性菌を下に示します。
ここに示しているものはほんの一例です。
これから先もいろいろな耐性菌が生まれてくると考えられます。
耐性菌を増やさないように、広めないように、私たちは気をつけなければなりません。
スーパー耐性菌
=多剤耐性菌です。
つまり、多くの抗生剤が全く効かず、最後の切り札の特効薬に対しても耐性を獲得した細菌のことです。
◆MRSA◆
言わずと知れた、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。
この細菌には通常の黄色ブドウ球菌に使用されるβーラクタム剤が効かないため、バンコマイシンが用いられます。
・・・ですが、このMRSAの中で、バンコマイシンにも耐性を示すものが現れたのです!!!
人類の歴史は感染症との戦いでした。
腸内細菌のページに示したペストがその良い例です。
それが、20世紀初め、抗生剤を発明したことによって感染症を治療することが可能となり、人類は感染症を克服したかのように見えました。
けれども、長い時間を経て、抗生剤に耐性を持ったこうした菌が増え、人類はまた、感染症の脅威にさらされることになりました。
スーパー耐性菌の蔓延を防ぐために、私たちには何が出来るでしょうか?