数少ないグラム陽性の桿菌ですが、ここでは”芽胞を形成するかどうか”がとても重要になります。
なぜならば、芽胞を形成することのできる菌はいわゆる”強い”菌であり、容易に消毒、滅菌できないからです。
(→感染と予防のページ参照)
芽胞を形成することのできる菌名
芽胞形成の位置
をきちんと覚えましょう!
Listeria monocytogenes
リステリア症(人畜共通感染症)の原因菌。
細胞内寄生性
周毛性の鞭毛を持ち、28℃で活発な運動性を示す。
馬尿酸加水分解陽性、CAMPテスト陽性
髄膜炎、脳炎、敗血症などを起こす。
乳幼児および小児の感染が半数以上を占める。
Corynebacterium diphtheriae (ジフテリア菌)
ジフテリアの原因菌
細長い桿菌、多形性、棍棒状、弯曲、柵状、松葉状
ブドウ糖分解、白糖非分解
異染小体 (ナイセル小体) が存在(レフレルの培地でよく見られる)
選択培地の荒川培地には亜テルル酸カリウムが含まれ、菌の還元により黒色の集落を形成する。
図:異染小体(黄色の菌体の両端の青紫の部分) 知識の泉より引用
Bacillus anthracis (炭疽菌)
炭疽(人畜共通感染症)の原因菌
非運動性⇔(他のBacillus属)、莢膜を形成
芽胞は菌体の幅より小さく、中心性
レシチナーゼ陽性
Bacillus cereus
食中毒の原因菌となることあり (嘔吐型と下痢型)
周毛性の鞭毛を持ち、運動性あり
レシチナーゼ陽性
芽胞は楕円形、菌体幅より小さく、中心性
Bacillus subtilis (枯草菌)
非病原性
周毛性の鞭毛を持ち、運動性あり
芽胞は楕円、菌体幅より小さく中央からやや偏在性
滅菌性能試験に用いられる
図:枯草菌 緑の部分が芽胞 Wikipediaより引用
Bacillus stearothermophilus
非病原性
菌体の一端に芽胞を形成
滅菌性能試験に用いられる
表: Bacillus属の鑑別点