抗酸菌とは、”いったん染色されると酸アルコールに脱色されにくい性質”(テストによく出ます!) のことを言います。
この性質は細胞壁に含まれる脂肪酸 (ミコール酸) によるもので、グラム染色においても赤 (アニリン色素)に難色性なため、グラム陽性を示します。
抗酸菌の染色法としては、チールネールゼン染色、蛍光染色などが有名です。
Mycobacterium属は、非運動性、芽胞や莢膜を形成しない、という特徴があります。
結核菌以外の培養可能な抗酸菌は発育速度と色素産生性により4群に群別されます( Runyonの分類)。
①光発色菌群(Ⅰ群):光照射後、暗所培養すると集落が黄色に着色する菌群
②暗発色菌群(Ⅱ群):光照射の有無にかかわらず集落が黄色および橙色に着色する菌群
③非光発色菌群(Ⅲ群):光照射により集落が着色しない菌群
④迅速発育菌(Ⅳ群):1週間以内に集落を形成する迅速発育菌群
表:臨床材料から分離される抗酸菌の一般性状(簡易)
Runyonの分類はうっすらでいいので覚えましょう。
生化学的性状で覚えるといいところに黄色く印を付けました。
Tween 80を水解するもの:M.kansasii, M.marium, M.gordonae
語呂:鹿児島で ツイート (か:kansasii ご:gordonae しま:marium ツイート:Tween 80)
尿素を分解しないもの:非光発色菌群
硝酸塩還元するもの:M.tuberclosis, M.kansasii, M.szulgai, M.fortuitum
語呂:関西地方の 鈴木さん 決勝に進出 (関西:kansasii 地方:fortuitum 鈴木:szulgai 決:結核菌 勝:硝酸塩還元)
ナイアシン試験陽性のもの:M.tuberclosis
Mycobacterium tuberculosis (結核菌)
偏性細胞内寄生性
普通寒天培地に発育しない→小川培地、Middlebrook7H11、Kirchner培地
予防法としてBCGワクチン(弱毒生ワクチン)がある
表(参考):鏡検における検出菌数記載法
※以前はガフキー号数で菌数を報告していた。ガフキー号数に0はないが、便宜上加えてある。
◆非結核性抗酸菌(non tuberculosis mycobacterium)◆
M.avium-intracellulare complex (MAC):
M.avium、M.intracellulareは生物学的、生化学的性状で鑑別することができないので、まとめてMACと呼ぶ
エイズ患者よりしばしば分離される
Mycobacterium leprae (らい菌):
培養不能
ハンセン病の病原菌
レプロミンテスト(光田反応)は病型を決めるための皮内反応
☆結核菌(抗酸菌)検査の新しい流れ☆
従来の検査法では3~4週間要することから、迅速化が進んでいます。
①検体の前処理法
NaOH からN-アセチル-L-システイン(喀痰融解作用あり)へ
②PCR法の利用
③液体培養
Middlebrook7H11培地をベース。卵培地(小川培地)より迅速判定が可能(7~10日短縮)
④感受性検査
⑤遺伝子検査