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★美味しいお魚を食べよう! 〜魚食の文化と科学〜: 魚の鮮度と美味しさの話

お魚について知ることで、より美味しくお魚を食べてもらうことを目的としたガイドです。

魚の鮮度と美味しさの関係

魚は鮮度が全てだと思っていませんか?

今では魚の生食が世界的にも広まり、寿司などの食文化が盛りあがりを見せていることもあり、安全性の面からも魚の鮮度は特に重要視されています。確かに、鮮度が落ちた魚は生臭かったり食感が悪かったり、美味しいとは言えないものもたくさんあります。しかし、美味しさを構成する要素である「うまみ成分」は魚の鮮度が落ちてきて、分解が進んだ頃が一番多くなります。獲れてすぐの新鮮な魚は食感はいいけど、旨味が足りないという場合もあるので、「鮮度=美味しさ」と一概には言えないのです。

うまみ成分とは

旨味・うま味」は第五の味覚と呼ばれており、発見されたのは人類の長い歴史から見るとつい最近のことです。日本の池田菊苗という科学者が1908年に、昆布から抽出したグルタミン酸ナトリウムを味蕾が感じ取れるということを科学的に示したことでうま味の存在が明らかとなりました。その後、カツオ節から抽出されたイノシン酸などもうまみ成分の一つとして発見され、うま味の化学的な理解が飛躍的に進みました。

しかし、うま味成分の発見より以前に、日本を含む一部の地域ではこのうま味の存在はすでに感覚的に知られており、「ダシをとる」という形で料理に深く関わってきました。例えば、4世紀ごろにはすでにカツオの煮汁(堅魚煎汁)が調味料として使われていたことが、考古学的にも発見されており、カツオの煮汁に存在するうま味成分の利用がなされていたことを示唆しています。グルタミン酸ナトリウムやイノシン酸などのうま味成分の一部は最初から魚に含まれていますが、その多くは魚の死後に組織の分解が進んだ時に最も豊富になります。つまり、鮮度が落ちてきた頃が最もうま味が強くなります。しかし、「美味しさ」というものはうま味成分の含有量のみに決定されるものではなく、食感、香り、嗜好なども含めた要素が複合的に作用して感じられます。また、時間経過と共に進む分解と同時に細菌などによる腐敗も進みやすいので、単純な劣化は悪臭などの原因にもなります。この複雑なバランスをコントロールし、魚のうま味を最大限に引き出す調理法は「熟成」といわれています。また、湯引きや炙りといった熱を通す調理法もうま味成分を増加させる効果があるとされています。

5日間ほど熟成したブリの刺身。

分解が進み、身は柔らかく、ねっとりとした食感になっている。

旨味が強く感じられ、釣りたてのブリとは別物だった。

この時お腹を壊すことはなかったが、人に出すことは怖くてできなかった。

熟成を行う場合はよく調べた上で、自己責任で行ってほしい。

(または、そういう魚を提供する専門のお店で食べてほしい)

写真下:短期間ではあるが、熟成したブリの刺身。

この頃は寿司を練習し始めて間もないため、シャリの大きさやネタの切り方がまちまちで不恰好だった。

しかし、熟成された身は酢飯と良く馴染み、とても美味しかったことを覚えている。

参考文献

国立国会図書館. “第17回 日本のだし文化とうま味の発見”. 本の万華鏡. 2013. (Web), <https://www.ndl.go.jp/kaleido/entry/17/>. Last accessed January 21, 2022.

竹内 俊郎,  中田 英昭, 和田 時夫, 上田 宏, 有元 貴文, 渡部 終五, 中前 明, 橋本 牧. 水産海洋ハンドブック. 東京, 生物研究社, 2016, ISBN 9784915342738.

新鮮な魚とは

現在は、魚の鮮度にはK値という基準が存在しています。K値とは、うまみ成分を含む核酸化合物の総量のうち、ヒポキサンチンとイノシン酸の占める割合で算出されます。ヒポキサンチンとイノシン酸は拡散化合物の分解が進んだ最終産物であることから、この割合が小さいほど鮮度が高いとされます。K値やその他の匂い、pH、色調などを元に総合的に判断され魚が生で消費者に提供されるかどうかが決められています。

参考文献

竹内 俊郎,  中田 英昭, 和田 時夫, 上田 宏, 有元 貴文, 渡部 終五, 中前 明, 橋本 牧. 水産海洋ハンドブック. 東京, 生物研究社, 2016, ISBN 9784915342738.

北海道水産林務部. “生鮮水産物鮮度保持マニュアル(概要版)”. 北海道立総合研究機構. 2007, 03. (Web), <https://www.hro.or.jp/list/fisheries/research/central/section/kakou/att/j12s220000000vis.pdf>.  Last accessed January 21, 2022.