Skip to Main Content

九州大学の資料とたのしむ競走馬の血統: ダービーよりも人気のレース!?

ギャンブルだけじゃない競走馬の魅力,お伝えします!

イギリスの障害競走事情

「日本競馬で最も人気のあるレースといえば?」と聞かれれば,東京優駿 (日本ダービー) や宝塚記念,有馬記念など数多くの有力馬が出走する芝平地レースをあげる方も多いと思います。レースごとの馬券売り上げは有馬記念がトップだそうです。

しかし,競馬発祥の国イギリスでは障害競走が非常に人気を博しており,グランドナショナルやチェルトナムゴールドカップなどの有名なレースにあわせてG1競走が多数開催されています。日本では一日に複数のG1競走が開催されることはありませんが,香港 (香港国際競争) やドバイ首長国連邦 (ドバイワールドカップミーティング) などでは非常に馴染み深い開催形式です。
香港国際競争やドバイワールドカップミーティングは日本でも中継されているのでご覧になった方もいらっしゃると思います。

日本における障害競走は歴史も長く,数々のスターホースや名勝負を生み出してきたとはいえ平地競走に比べるとマイナーなイメージが強いです。また,4月に開催される中山グランドジャンプは牡馬クラシック三冠競走の初戦である皐月賞の前日,12月に開催される中山大障害は人気馬が集う有馬記念の前日に開催されるなど,あくまでも「平地がメイン,障害はサブ」として扱われているような気がしてしまいます。
しかし,イギリスではG1のダービーステークスよりも重賞ですらない (※) プレミアムハンデキャップ競走のグランドナショナルの方が人気が高いです。2018年に発表されたnetkeibaのコラムでも,イギリスにおける障害競走の人気ぶりがうかがえます。

(※) 2022年まではG3競走として格付けされていましたが,2023年からはプレミアムハンデキャップにレースの格付けが変更となっています。

2021年のロイター通信の記事では,グランドナショナルのオンラインブックメーカーの売り上げが137万4000ドル,日本円にして約220億円 (2021年4月時点でのレート) に達したと報じられました。同年の中山グランドジャンプ (約23億円) や中山大障害 (約21億円) と比較しても桁違いの売上額を誇ったことがわかります。普段競馬に興じない層もグランドナショナルは見る,というほどには現地で大人気のレースだそうです。
しかし,グランドナショナルは非常に過酷なことでも知られています。40頭が出走し,無事に完走した馬が9頭という年もあったそうです。日本のJ・G1競走では近年非常に競走中止が少ないため,かなり衝撃的な数字ですね…。
昨今は動物愛護団体によるグランドナショナルへの抗議が行われ,レースの開催に支障をきたした年もあります。レース映像を見ると動物愛護団体がこのレースに抗議するのも仕方ない…と思えてしまいます。