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★食卓の上の多様性: 九州大学の取り組み

誰かと食卓を囲むとき,そこには確かに多様性が存在しています。このガイドでは,食卓の上にある多様性という視点からより多くの人がおいしく,楽しく食卓を囲むためのヒントを提供します。

食の多様性に関する九州大学の取り組み

この章では,九州大学が食の多様性に関して行っている取り組みを紹介します。

実は私,大橋キャンパスに在籍していた期間の方が長いため,他キャンパスの食堂事情には疎いのです。
そこで,伊都キャンパスや馬出キャンパスをよく知る図書館TAや図書館職員の方に情報を募ったところ,かなり詳細な食堂事情を教えていただきました。
同じ九州大学でも,キャンパスによって食の多様性についての対応はかなり異なります。

大学生協全体として

九州大学にあるほとんどの学生食堂を運営している全国大学生活協同組合連合会 (大学生協) では,一部大学の学生食堂でハラルメニューを提供しています (メニュー例はこちら)。九州大学の生協が運営する食堂でも提供されているようです。

ハラルメニューを提供している大学に通う留学生からは,「学食で友達と一緒に食事をすることができて嬉しい」という声が寄せられたそうです。主菜・副菜・丼や麺類とバリエーションも豊富で,毎日選ぶ楽しみがあるのもいいですね。個人的には野菜の豆乳クリーム丼が気になります。日本人の間でも賛否両論分かれるシチューライスのようなものでしょうか…。

伊都キャンパス編

( http://www.id.design.kyushu-u.ac.jp/school_life/2011/takeuchi/index.php より引用。これはクアシスの写真です)

九州大学に在籍する全ての学生が一度は通うキャンパスです。当然,宗教やアレルギーなどの理由で食に制限がある学生の数も多くなります。
(宗教)
伊都キャンパスセンターゾーンのカフェテリア「クアシス」にハラルミールのコーナーがあることは,九大生の皆さんならご存知だと思います。私は学部2年から修士2年まで大橋キャンパスで過ごしましたが,学部1年のときや用事があって伊都キャンパスに来るときは時々ハラルミールコーナーのご飯を食べていました。自炊では作ることがめんどくさい難しい,本場のスパイシーな味わいがクセになります。
クアシスの他にも,イーストゾーン (文系地区) ,ウエストゾーン (理系地区) の食堂や売店にもハラルメニューが用意されているそうです。
※箱崎キャンパスがあった時代には,中央図書館の前にハラルミールを販売するキッチンカーが来ていました。学部4年生の時に箱崎キャンパスに通う機会があった時,時々利用していました。これもまたスパイシーな味わいがクセになりました。

 (健康)
伊都キャンパスの学食には,メニューのポップに特定原材料が記載されています。アレルギーとは異なりますが,生協が運営する学食ではレシートに選んだ食品のカロリーや主に含まれる成分 (炭水化物,タンパク質,脂質) が記載されています。自分がどれくらいのカロリーを取ったのか,栄養バランスが整った食事ができたかを意識することができます。たまにやけ食いをした時のレシートからは目を背けたくはなりますが…。

馬出キャンパス編

キャンパス風景 | 病院キャンパス情報 | 九州大学 医学部・大学院医学系学府・大学院医学研究院

(https://www.med.kyushu-u.ac.jp/campus/scene/popup25.html より引用)

医学部,歯学部,薬学部の学生が通うキャンパスです。学生健康診断以外ではほとんど足を踏み入れたことがない,という方も多いのではないでしょうか (箱崎キャンパスから完全に移転してからは,ほとんどの学部,学府は伊都キャンパスで学生健康診断を受けるようですね) 。

(宗教)
馬出キャンパスに通う留学生の数は伊都キャンパスに比べて少ないためか,学食でのハラルメニュー提供は行われていないそうです。しかし,生協の売店ではハラルミールとしてエジプトコフタ (ミートボールのような料理) ,豆とトマトの煮込み,シャワルマ (中東ではケバブをこう呼ぶそうです) の常温弁当や鶏そぼろ丼,バターチキンカレーの冷凍弁当が提供されているそうです。常温弁当のハラルミール,どれも美味しそうです。

(健康)
こちらも伊都キャンパスと同様,料理に含まれる特定原材料がポップに掲示されているそうです。

 

大橋キャンパス編

マンリーキュウシュウユニバーシティー 九州大学 大橋キャンパス店 (Manly Kyushu University) - 大橋/学生食堂 [食べログ]

(https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400202/40050012/より引用)

最後は大橋キャンパス。芸術工学部や芸術工学部のサークルに所属する学生以外が立ち入る機会はほとんどないと思いますが,実は私が最も長い時間を過ごしたキャンパスです。

ここまで色々と食の多様性について書いてきましたが,ここで残念な事実と向き合わなければなりません。
大橋キャンパスの学食は,私が知る限り宗教上あるいは健康上の理由で食事に制限がある人への対応 (ハラルミールの提供,アレルゲン表示) が一切ありません。
(記憶が非常に曖昧なのですが,学食の運営母体が生協だった時代 (2018年まで) もハラルミールはなかったような…。アレルゲンの表示はあったと思いたいです)

大橋キャンパスを拠点とする芸術工学部,芸術工学府,統合新領域学府の一部コースには留学生が多く,国際コースも設置されています。その関係で大橋キャンパスでは留学生を多く見かけました。
時にヒジャブをかぶったムスリマ (女性のイスラム教徒) と思しき方を見かけることがあり,その度に「この人は食事をどうしているんだろう。大橋キャンパスの学食にはハラルミールないから毎日お弁当なのかな。自炊が面倒になったらどうするんだろう」と考えていました。また,国際コースの設置や海外の大学との共同プロジェクトの実行,多様性を包括した社会の実現を標榜した研究を実施しているにもかかわらず,生理的,文化的な食の多様性を包括することについてはあまりにも無頓着すぎるのではないか,と伊都キャンパスに拠点を移してからはより強く感じるようになりました。
この経験をきっかけに,大学における食への多様性について興味関心が強まり,このガイドの執筆に至りました。

 

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