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触れてみよう!漢方医学と漢方薬: コラム:西洋薬のオーダーメイド

名前くらいは聞いたことがある「漢方」、一体ナニモノでしょう。 実は僕たちの日常をよりよくするポテンシャルを秘める「漢方」について、その背景も踏まえてご紹介いたします!

西洋医学的「オーダーメイド」

 

患者個々人に応じた漢方薬を処方できる、という漢方医学の強みを紹介しましたが、 

西洋医学 / 西洋薬にも「患者個人に応じた治療」というものは存在します。

いわゆる《オーダーメイド(テーラーメイド)医療》と呼ばれるものです。

 

※少し難しい内容かもしれないので、飛ばしてもらっても構いません

 

「この症状に効く!とされている風邪薬なのに、どうも自分の場合効かない・・・」

などといった、同じ薬でも人によって効き目が違うことは、以前から知られていることでした。

 

遺伝子診断 の技術が発達したことにより、薬効の個人差の原因のひとつに、個人の遺伝子配列における変異があることが分かりました。

この変異が原因で、体内の

薬の効き目を妨げる力(※そもそも薬は身体からすれば「異物」なので、排除しようとする働きが生まれます)や、

薬を作用部位に運ぶ力(または排泄する方向に運搬する力)に違いが生まれ、薬効の個人差が生じます。

(気になる方は「薬物代謝酵素」「トランスポーター」で調べてみてください)

 

遺伝子診断で得た各患者の遺伝子情報は、フル活用し、治療法に反映させることが出来ます。

 

例えば、ある薬物一日2錠服用するようにすると、喉の痛みを抑える効果がある…とします。

また、とある遺伝子の特定部分(X)に変異を持つと、Aの効き目を 妨げる力 が体の中で必要以上に発揮される状態になってしまう…とします。

つまり

Xが普通じゃない(専門的に言えば「野生型じゃない」)人は、一日2錠きっちり飲んでも、喉の痛みがそれほど改善されない可能性がある

ということです。

 

さて、薬物がどんな患者さんに対しても効くために、遺伝子診断 が一肌脱ぎます。

すなわち、に関して遺伝子診断することで、診断した患者さんに対して、一日2錠のAがどんな効き目を示すか、実際に服用しなくても大体予測することができます。

Xに変異があると診断で分かれば、一日3錠に増やしてみる 等工夫をすることで、そのような患者さんに対しても効き目が出るようなプランを提案できます。

このように、遺伝子情報を基にして患者さんに応じた薬の「投与設計」が出来ることがあります。

これが、《テーラーメイド医療》と呼ばれるものです。

  

服用前に薬物の挙動(薬物動態)が知れて、低リスクな治療を計画できる、というのは画期的なもので、

現在あらゆる医薬品で、遺伝子変異との因果の研究が進められています。