「漢方薬」 と聞いて、みなさんはどのようなイメージを抱くでしょうか
「苦そう」
「古臭そう」
「体には優しそう」
「草を何種類か配合しただけなのに効き目が出るのが本当謎」
これは僕が薬学部に入る前まで抱いていたイメージですが、
似たことを考えている方も、ちらほらいるのではないでしょうか。
薬学部では、残念ながら「漢方」に関して教えてもらえる時間は本当にごくわずかでした。
薬学府に進み、薬物動態学にたずさわり初めて分かったのですが、
漢方薬に対する科学的根拠付けはまだまだ及んでおらず、その作用機序や体内動態、
つまり 「何で効くの?」 という点に関しては、不明な点が盛りだくさんでした
苦いことは既に知っていたので
結局自分が持っているイメージは、薬学生の今になってもあまり変わっておりません
しかし
漢方薬は、いまも現役でお医者さんから処方されており、
その薬効で数多くの患者さんを救っております。
僕は興味本位で漢方薬の本をいろいろ読んでいますが、
科学的には謎でも、正しく効くための体系は確立されており、
同じ病気でも人によって処方される漢方は違ったり、違う病気でも同じ漢方が処方されたりと、
漢方薬には面白い事実もたくさんあります。
ここではそんな、漢方薬・漢方医学 の面白さを、
源流にある 「東洋医学」 と併せて、紹介したいと思います。
このガイドを通じて漢方薬が身近になっていただけると幸いです。
薬学府博士2年の松原と申します。
近年、患者個人個人の体質に応じて薬の投与設計を行う医療(=テーラーメイド医療)に注目が集められていますが、実は患者個人に応じた治療/処方は、現代から大きく遡った昔の医療でも実践されていました。
その代表が今回紹介させていただく「東洋医学」、そして「漢方医学」です。
個人的にとても興味のあるこの領域について、皆さんと面白さをシェアできましたら幸いです。
※)
ここでは、現代の治療指針の主流である 西洋医学 の概念に対する、東洋医学・中医学等を源流にする治療指針を 「東洋医学」 と呼んでおります。
厳密な区別や定義づけは、ややこしさ回避のために行なっておりません。
大きく分けた東洋/西洋の考えの基準の違いを皮切りに、漢方薬・漢方医学のすごさをお伝えできればと考えておりますので、ご了承ください。
※)
同じ東洋医学的治療の考えでも、流派によってその捉え方が異なることもあるため、全ては一概に言えない、ということも併せてご了承ください。