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九コレで学ぶ「くずし字」の世界: 難易度★★ 行政文書

古い時代の資料に書かれた、読めそうで読めない「くずし字」。九大コレクション(九コレ)で九大所蔵の資料を眺めながら、「くずし字」の世界に触れてみましょう。

難易度★★ 行政文書

「古文書」というと、日本史の教科書に登場したような触書をイメージする人もいるかもしれません。このような、役人が民衆に向けて発給した文書にもくずし字が用いられます。また、租税関係の文書や、土地紛争に関わる文書など、役所の中で読まれた文書にもくずし字が用いられました。
出版物が筆耕によって書かれたのに対して、行政文書は役人が(時代によっては寺社関係者なども)書くものがほとんどでした。そのため行政文書には、出版物とはまた違う独特な種類のくずし字が用いられました。さらに、「○○之儀」「○○候間、」「在間敷候(あるまじくそうろう)」など、もっぱら行政文書にのみ使われるような言いまわしも多く読みこなすのに要求される知識は文字の形だけに留まりません。
前近代の日本史を研究する場合、このような資料を読まねばならない場面が非常に多くあります。

たとえば

[久留米藩]岡野三右エ門風二被放候次第書

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久留米藩主有馬則維のりふさの家来、岡野三右エ門(三左衛門?)なる人物が、航海の折に大風に吹かれて遭難し外国船に救われ清国(現在の中国)へ漂着。帰国するまでの顛末が記録されています。複数の記録書を写したもののようです。「ゟ(より)」「御」「候」などの字に、独特のくずし方が表れています。