九コレで学ぶ「くずし字」の世界: 附：関連書籍

江戸時代の絵入り図誌『訓蒙図彙』の挿絵を見ながら、変体仮名の字形を覚える構成。江戸時代の動植物図鑑を眺めるようで、目に楽しい書物です。レベルは初心者向け。基本的な字形を身につけることができます。

変体仮名をいろは順に書いて学べる書籍です。見開きの右半分にはお手本に沿ってくずし字を書くマス目が、左半分には仮名にちなんだことわざがテスト形式で載っています。現代人でも馴染み深いことわざが多いので、推測しながら変体仮名を読むことができ、初心者の腕試しに向いています。

上記『江戸のくずし字：いろは入門』と同じシリーズ。江戸時代の双六（すごろく）や寺子屋で使われた書籍を素材に、東海道を旅しながらくずし字の手習いができる書物です。漢字も登場しますが、仮名が多めの配分になっています。クイズ形式で読み進めることができ、各宿場のミニ知識も学べます。

前半では「くずし字マストの109字」として頻出の変体仮名が字母とともに解説されています。後半は穴あきドリル形式で練習問題が充実しています。読み方のコツが詳細に解説され、徹底的に練習できるので、本書を一通り読めば、「初心者」レベルは卒業といって良いでしょう。

絵巻、浮世絵、板本、短冊、美術品などさまざまな物に書かれたくずし字を素材に、字形を学べる書籍です。題材となる箇所はすべて字母が表記され、また注目すべきポイントには赤字が施されるなど、視覚的に分かりやすく構成されています。「初心者はもう卒業だな」というくらいの人に向いている書籍です。※一部に春画を扱ったパートがあるので、読む環境にはご注意ください。

古い資料を素材にくずし字を学べる書籍です。他の書籍と共通した構成ですが、この本では、幕府の触書や将軍の書状など、難易度の高い手書きの資料もカバーする幅の広さが特徴です。「板本はだいぶ読めるようになったぞ」という中級者以上の人向けです。

書物そのものを研究対象にする学問を書誌学と言います。本書は、和書に関する書誌学的な基本知識を、国文学研究資料館所蔵の豊富な資料画像を用いて紹介するものです。和書の基本を視覚的に学ぶことができます。

日本文学や日本史を研究する際には、書誌調査が必要な場合があります。本書は、モノとして古典籍と向き合うための知識をまとめたものです。古典籍の形態、上古から近世までの歴史、実際の書誌調査の手順まで幅広く紹介されており、書誌学の基本を学ぶことができます。

「おわりに」でも引用した、中野三敏氏の著作です。江戸時代を中心に、当時の出版事情や書物の在り方、和書が出来る工程、和書の分類、海外の和書事情について紹介しています。「和本には身分がある」など、近世社会の在り方を理解しながら和書について知ることができます。

江戸時代の書物のうち、特に「板本」の書誌学的特徴を縦横に述べた図書です。板本がどのように作られているか、どのような要素から成り立つのか、当時どのように認識されていたかなど、板本に接するうえで欠かせない知識が余すところなく記されています。本格的に研究を志す人にお勧めする一冊です。