時代劇などで、武将に書状が届く場面を見たことがある人も多いと思います。このような、特定の人物から特定の人物へ宛てて書かれた文書も、その人物の交友関係を示す重要な資料として保存されている場合があります。
出版物や行政文書と違い、こうした書状や手紙は、当事者間での連絡のために書かれたものです。そのため、第三者から見ると非常に分かりにくいこともしばしばあります。書かれた文字には、書き手の個性や筆跡の癖、時には感情まで反映されていることもあります。たとえば、幕末明治の政治家を研究している人の中には、研究対象となる人物の筆跡に慣れておく必要があると語る人もいます。それほど、書状・手紙は、くずし字関連の資料の中でも特筆して読みこなすのが難しいのです。
そのため、大学の日本史・日本文学の研究者や大学院生の中には、私的にゼミなどを組んで、前近代の手紙を解読する会を催していることもあります。
書状(貝原益軒)
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福岡藩儒貝原益軒が、弟子で福岡藩士の竹田春庵(助太夫)に宛てた手紙です。竹田春庵は本名を定直と言い、貝原益軒の高弟として師の活動を支えた人物でした。自らも儒学のほか算術や天文など諸学に通じ、竹田家は福岡藩の儒官となりました。詳しくは、井上忠著、日本歴史学会編集(1963)『貝原益軒』(人物叢書145、吉川弘文館)の41-44頁に詳しく記されています。
九大図書館では、竹田家の旧蔵史料の一部を竹田文庫として所蔵しており、益軒からの書状も多数収録されています。竹田文庫について詳しくは下記をご覧ください。
難易度★★★ 手紙 |