Cuter本棚～九大図書館で読めるオススメの一冊～: 別世界にのめり込む‼

ある時、月面で人間の死体が発見された。彼は人類が誕生する遥か昔――5万年前に死亡していた。
このあり得ない事実の発見からはじまる本作は、いわずと知れたハードSFの代表作です。
彼は何者なのか。どこから来て、なぜ月に居たのか。世界中の科学者が結集し、幾多の謎に立ち向かっていく展開は圧巻の一言！！

明るく楽しく、だからこそ凡庸な人々を軽蔑しつつ、しかし彼らへの憧れを捨てられない主人公トニオ・クレエゲル。
世間には馴染めず、かといって達観しきれるわけでもない、不器用なトニオの生き方に共感できる人も多いのでは？
秋らしくちょっぴりセンチメンタルな気分に浸りたい人にお勧めです。

旧ソ連の時代に活躍したSF作家のベリャーエフの作品を紹介します。10歳のころに読んだ彼の『人口衛生ケーツ』は、私を壮大な宇宙世界に飲み込んでしまうような、強い衝撃と感動を与えてくれました。
この全集に収録されている作品でお薦めしたいのは、『ドウエル教授の首』。恐ろしいタイトルです。
「女医マリー・ローラン。実験室内部で彼女が見たものは、まばたきしながらじっと彼女を見つめている、胴体から切り離された生首であった！」というシーンからも、おどろおどろしいものを感じます。
でもこの作品、単なるスリラーSF ではありません。ベリャーエフが私たちに伝えたい真意はなんなのか。ぜひ一読してみてください！

小さな女の子マチルダは両親と兄の４人家族。
普通の家族とひとつ違うのはマチルダが天才だということ。
自分を理解してくれない大人たちに彼女はどう切り込むのでしょうか、そして彼女が見つける本当の家族とは?小さな彼女が自分の居場所と未来を切り拓いていく姿に元気づけられます。

幽霊を見たことがありますか？
小さい子供は純粋だから視える、という話を聞いたことがあります。
でも小さい子供でなくても視える人には視えるし、不思議な体験をする可能性がゼロだとは言い切れないのかもしれません。
幽霊に関する短編集です。色々な不思議を体験してみてください。

京都に古来から住んでいる、狸と天狗と人間のお話です。
昔っぽさの残る言い回しとキャラクターの可愛らしさが噛み合って、なんとも言えない味わいとなっています。
もし人間に化けた狸に出会えたら、一緒にお酒を飲みたい…（“○鍋”でなく“もつ鍋”で！）楽しい気分になりたい方にオススメの一冊です。

SFというジャンル意識して、初めて読んだ作品です。
こんな社会で生きたくない…と真面目に思います。「2＋2=5」の世界とは、どんなものだと思いますか？
読後感は決していいとは言えませんが、考えさせられる小説であることは確かです。
最近また注目を浴びているこの本、一度手にとってみては？

「マクドナルで隣り合わせた男の携帯電話を手に入れてしまった俺は、なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった。そして俺は、気付いたら別の俺になっていた」という現実離れした設定からスタートするおはなしです。
増殖する『俺』の襲来に読者である我々も『俺』の一人になってしまうかのような没入感を覚えます。
一見、不思議なストーリー展開のようにみえて社会学や政治思想に繋がる論理性があり、考えさせられる内容でもあります。是非手に取って読まれてみてください。

私にとってファーブル昆虫記といえば奥本先生編・訳のものでした。

小学生の頃にサンタさんがくれたもので、学校に持参しては休み時間、帰宅後も家で読みふけりました。鳥山明先生の装画もお気に入りです。
昆虫の世界のなかにある論理性をトライ&エラーを繰り返しながら解き明かすファーブル先生の姿は楽しげで、読者もそうした姿に引き込まれていくように思います。
蝉の鳴き声にいらだち、猟銃を放つ先生には、ムツゴロウさんと一線を画するものがあるように思います。そこもいい。