Cuter本棚～九大図書館で読めるオススメの一冊～: 1年生に読んでほしいおすすめ本コーナー

とにかくわかりやすい。あんなに授業で苦労して、結局たいして内容を理解できなかったことがここまで分かるようになるのかと衝撃を受けました。級数展開から始まりフーリエ級数、その複素級数への拡張、その後、フーリエ積分、フーリエ変換への応用と、どのように拡張されていくのかわかりやすく説明されています。この著者が書いた「なるほど」シリーズのほかの本は、九大図書館や福岡市図書館で借りることができ、そちらもわかりやすくオススメです。

私が本を読むようになったきっかけというか、子供のころに読書は面白いと初めて思わせてくれたのが、この星新一さんが書かれたショートショート集。ショートショートとは特に短い短編小説のことで、だいたい５ページ、短いものでなんと２ページで終わるので、普段本を読まない人や長い話だと途中で投げ出してしまう人でも、すぐに楽しめると思います。この本で特に読んでほしい話は「オアシス」です。２ページながらすごく印象に残ってます。本は借りなくてもこの話だけは読んでほしいです、1分で終わるので！

ラスト１ページ、いやラスト３行で全てがひっくり返る感覚を味わったのは後にも先にもこの本だけ。
結末が分かって読むと、なるほどと思う伏線があちらこちらに出てきて再読せずにはいられませんでした。
一回目よりも結末を知った二回目のほうが面白いという、ある意味ミステリーとしてはちょっと珍しい本です。
猟奇的な描写があるので苦手な人もいるかもしれませんが読んでみる価値は十分、ぜひ騙されてください！

大学図書館には雑誌から専門書まで多種多様な本が揃えてあります。その中から「良い！」と思える本を探すのはなかなか骨が折れる作業です。人のオススメといっても、実際どんな本がいいのかは人の趣向によるところが大きいですよね。そこでおすすめしたいのがこの本。ジャンルごとの分類と1冊当たり約2ページの解説で１０１冊分のレビューがサクサク読めます。この本を参考に自分の肌に合ったモノを探してはいかがでしょうか？

この春から初めての一人暮らしを経験する新入生の方々も多いと思います。今まで家族に任せていた炊事や洗濯、掃除といった家事諸々をどんな風にやっていけばいいのか不安になる人も多いはず。
オレンジページでは料理レシピを中心に掃除や洗濯のコツなど，生活のくらしに役立つ様々な情報を紹介しています。季節の食材を生かした料理を覚えて宅飲みの主役になってみませんか？

「最近の若い人間は～」というのは大昔から言われてきたところですが、近頃では「これだからゆとりは～」という非難が流行っている？そうです。自分たちが選んだ教育でもないのに，とりあえず「ゆとり」というレッテルを張られて嘲笑される。
そんなレッテル張に甘んじている大人？達に一泡吹かせたい人、是非この本を手に取ってください。ゆとり教育がなぜ生まれたのか、本当に学力は低下しているのか、ノリだけでゆとりを非難している人たちに反駁する力を与えてくれるはずです。

仏教と聞くと、難しげな念仏をイメージする方も多いかもしれません。これは、ブッダの教えが後世に伝わっていくうちにいろいろな流派が生まれそのようなものになったとも言えます。しかし、この本は、ブッダ本人の教えに近い原始仏教の本なので、難解ではなく、シンプルな教えを知ることができます。この本はお話としてもおもしろいです。

マイケル・アティヤさんによる数学関連の随筆集。アティヤさんによる20世紀の数学の流れの解説や、数学者と社会との関わりなどの話が書かれています。数学を研究することについても示唆に富んだメッセージが述べられていますので、全年代におすすめです。これからの数学についてアティヤさんの考えを知りたい人は是非読んでみてはいかがでしょうか。

深谷先生によるどの層に向けて書かれているのかよくわからない本。はじめの方は一般向けのようですが、途中から難しくなります。数理物理と幾何学の間の関係について知りたい人におすすめです。深谷先生の文章はなんだかとてもかっこいいです。

フランスの哲学者ジャン＝ポール・サルトル（Jean-Paul Sartre, 1905-1980）の実存主義をアナキズムの視点から再評価する画期的な研究書。サルトルからジャック・デリダ（Jaques Derrida, 1930-2004）、ジル・ドゥルーズ（Gilles Deleuze, 1925-1995）への影響が感じられる。本書では、構造主義によるサルトル批判が逆に批判される。独我論を批判しつつも関係性には還元不可能な複数性が提示され、他者を自由な主体として見なす倫理が提唱される様は感動的である。サルトルファン感涙の一冊。

批評家、柄谷行人（1941-）の『トランスクリティーク―カントとマルクス』（2001）以降の哲学が簡単にまとめられた啓蒙書。イマヌエル・カント（Immanuel Kant, 1724-1804）の思想の「可能性の中心」がまとめられていて、入門書にもなる。本書での「倫理」とは、他者を自由な主体として見なすものである。共同体内部の「道徳」では、共同体外部の他者が排除されるが、共同体外部の「倫理」では、他者を排除せずに自由に生きることが目指されるのだ。

フランスの思想家ジャック・デリダ（Jaquess Derrida, 1930-2004）の「脱構築」（déconstruction）の思想が分かりやすくまとめられた良書。脱構築とは、あらゆる二項対立にもとづく「現前性の形而上学」に潜む「他者を排除する欲望」を明らかにし、その矛盾を発見することで二項対立を内部から破壊する理論のことである。人種や国籍、性別の差別に対抗するための有効な方法であり、文学テクストを読む際には、テクストが一つの意味だけには還元されないことを示す。

ジャック・デリダ（Jaquess Derrida, 1930-2004）の「脱構築」（déconstruction）の日本での研究を刷新した画期的な研究書。本書では脱構築が、否定神学にもとづく「存在論的脱構築」と、行方不明になった可能性の「幽霊」にもとづく「郵便的脱構築」に大別されて論じられている。存在論的脱構築では、二項対立を内部から脱構築する決定不可能性が「世界」にあいた単数的な穴に発見される。一方の「郵便的脱構築」ではコミュニケーションの齟齬が扱われる。

アヴァンギャルド作家、安部公房（1924 -1993）の驚異的にレベルの高い小説集。「壁―S・カルマ氏の犯罪」（『近代文学』1951年2月号）では名前を失った主人公が自分の胸の中に広がった荒野に立つ壁になるまでが描かれている。実存主義とシュールレアリスムの影響を受けた本書を読むことで、現実を違った視点から見ることが出来るのではないだろうか。私の人生と経験と魂をこめて推薦する一冊。

19世紀アメリカの作家ヘンリー・デイヴィッド・ソロー（Henry David Thoreau, 1817-1862）が1845年から1847年までウォールデン（Walden）の森で自給自足の生活をした際の記録。社会関係に嫌になった時は、そこから逃れ出て生きる―それがナサニエル・ホーソーン（Nathaniel Hawthorne, 1804-1864）の「ウェイクフィールド」（“Wakefield,” 1835）や、ハーマン・メルヴィル（Herman Melville, 1819-1891）の「バートルビー」（Bartleby, 1853）で描かれたものだったと言ってもよい。社会から逃れ、自由に孤独に生きるための名著。

本作品では、戦争中に谷間の村に疎開してきた感化院の子どもたちが描かれる。アルベール・カミュ（Albert Camus, 1913-1960）が『ペスト』（La Peste, 1947）でペストの流行った街に閉じ込められた住民を描いたように、本作品では子どもたちが疫病の流行った村に閉じ込められ「自由の王国」を作り出すが、最終的にはもとの村の住民の手でそれが壊されてしまう。同時代の基地問題との関連でも論じられる本作品から権力への抵抗が感じられる。

計画が失敗する９つの理由や，計画を立てる際に必要となる要素，目的や目標を立てる際の要点も書かれています．また，日本人と他国人との考え方の違いも紹介されており，私たちが，よく口にする「とりあえず」は，よくないとあります．そして，１つの目的に対して複数の計画を立てる重要性，代替案を立てる際の思考法も紹介してあります．これから，色々なものに挑戦する皆さんに，是非とも読んでいただきたい１冊です．

　全体的に，パラグラフが文頭に書かれており，そのあとに要約文が書かれているスタイルです．筆者が，この本で伝えたいことを，本全体で説明しているので，少し読むだけでも要点を理解できるでしょう．説明は文章だけでなく，フローチャートや箇条書きも用いて説明してあり，とても分かりやすいです．良い例や悪い例も紹介してあるほか，うまく書くコツなども紹介されているので，読み進めながら自分なりに文章を考えることもできます．電車の中など，ちょっとした時間に是非読んでみてはいかがでしょうか．

　哲学的な「確率」は，「遭遇」「希少」「１つの可能性」の3種類あるという数式を必要としない話題から，確率とは何か，ポーカーやパチンコ，競馬などの身近（？）なゲームに関する確率，経済や需要といった社会に関する予想まで紹介されています．途中，難しい内容も多く出てきますが，図を用いて数式を使わずに紹介されている部分もあるので，数学が苦手な方でも理解できると思います．内容は難しいですが，この1冊が知識を深めるきっかけになればと思います．

これを読んで，大げさですが，人生が変わりました．この本は実際に起きた出来事を基に書かれています．「正しいことは何一つないけど，正しくあろうとすることはできる．」主人公の信夫は自らの生き方を通してこの言葉を示してくれます．読了後は，これから「いかに正しく生きてくか」ということを改めて考えさせられると思います．

著者が北海道で行った講演を原稿に起こした本です．人間いつかは死んでしまうもの．では，死んだ後に後世に残すことができるものは何だろうか．名誉？お金？…実は誰にでも後世に残すことができるものがあると内村は言います．そしてそれこそが最も大事なものであると．

おそらく皆さんと同じぐらいの年齢で特攻隊として戦死した人をモデルにしています．感じることはひとりひとり違うと思いますが，何かしら感じることがあると思います．賛否両論がある小説だからこそ，自分自身で読んで自分なりの解釈をしてほしいと思います．

大学生は、自分と異なる意見や考え方の持ち主と積極的に出会うべきだと思います。その意味で、この本を通した著者との出会いは、こんな読み方があるのか、とあなたを戸惑わせるでしょう。村上春樹というアイコン化された現代日本を代表する小説家に対し、「いろんな解釈があるから」の一言では簡単に済ませられないような問いと徹底した批評を行なう著者の筆致に、ハルキストないしアンチを自認する方も圧倒され刺激を受けるに違いありません。ぜひご一読を。

学生時代は、悩み考え、出会い、立ち向かい、挫け、そして再び立ち上がることの大切さとその難しさを学ぶときです。小説の主人公ラスコーリニコフは、貧しい苦境と鬱屈した学生時代を過ごし、みずからの天才性を過信するあまり、一つの殺人計画を立てる。哲学小説のようで、推理小説のようで、宗教小説のような『罪と罰』は、150年近く前に書かれたとは思えないようなリアリティーをもって、現代の大学生に黒光りした魅力を放ってくるでしょう。

学部一年生は必読の書！新進気鋭の歴史学者である與那覇潤氏の学部教養科目の授業を再現したもの。社会学における再帰性という概念でもって、いかに自己理解としての日本人像が生成されてきたのか明快に論じる。歴史を語る際の基本的な考え方と作法が学べるはずです。巷に広がる愛国的な言説が好きなあなたも、飽き飽きしているあなたも、「大学でものを考えるとはどういうことか」が凝縮された本書に触れてみては。

この本を読んで、ガンジス川を目指した大学生がどれだけいただろう。生とは何か、死とは何か、愛とは何か、信じるとは何か。その答えのすべてがインドにあるかのように、それぞれの問いを持ってやってきた５人の日本人。背負いきれない罪や苦しみや迷いにあっても懸命に真理を求め続ける人間、愛も憎しみもすべてを深い懐でもって飲み込む神々しいガンジス。読んだ後、あなたもガンジスに呼ばれるだろう。６回も読み直してインドに２回行った私が言うのだから間違いない！

「政治的なるもの」をめぐる考察は、二千年以上の思想史の深みから断続的に立ち上がる諸理念に支えられている。ウォーリンは、政治思想史を学ぶとは単なる過去の遺物を骨董品のように眺めるということでは決してなく、人間が人間である限り纏わり付く「政治なるもの」の幻影とリアリティーを理論化するプラクティスであることを教えてくれる。政治理論の非英雄的な叙事詩的伝統もその一つだろう。興味のある方は、序章だけでも読んでほしい。

ナショナリズム論の「古典」と言われている本です。この本における「国民」の定義―「国民とはイメージとして心に描かれた想像の政治共同体です」―は、頭のどこかに入れておくといいでしょう。この本とともに「国民」の成立と流布の過程を追っていきながら、我々がなんとなく抱いている「愛国心」や「民族愛」という感情が、どのようにして私たちの心の中に芽生えてきたのか考えてみるのも面白いと思います。

九大１００冊に選ばれているだけではなく、他の数々の大学でも新入生推薦書に選ばれている本なので、これぞまさに「大学生なら読んでおくべき」一冊だと言えるでしょう。辞書で「オリエンタリズム」を引くと、この本におけるサイードの考察―「西洋の東洋に対する支配の様式」―がそのまま「オリエンタリズム」の定義になっています。「オリエンタリズム」はしばしば「西洋vs東洋」という対立の問題として考えられてしまいますが、「東洋／西洋」ではなく、「支配の様式」ということに注目して読むと様々なものが見えてくると思います。

文学について本格的に勉強しようと思った時、大学の先生から一番最初にすすめられた本です。「文学」とは何かという問いからはじまり、「文学」概念の由来や文学理論の説明まで詳しく述べられているので、文学を志す人なら必ず読んでおくべき一冊といっても過言ではありません。（ちなみに、この本が少々難しく感じられる人は筒井康隆『文学部唯野教授』（岩波書店、2000）と一緒に読むといいかも知れません。）